真剣で彼女とデートしなさい!
「わかった。いいよ。行こうよ、デート」
『本当ですか! 嬉しい!』
直後、通話口の向こうで何かが崩れ落ちる音がした。
「一葉さん大丈夫!?」
『だ、大丈夫です。ちょっとベッドから落ちちゃっただけです。あの、その、嬉しすぎて……』
きっと一葉さんは今頃、あの照れ隠しみたいな笑みを浮かべていることだろう。
そう思うと胸の辺りが妙に苦しくなった。
……やはり不整脈!?
「それじゃあ、日曜日で良い? 明日はちょっと都合が悪いんだ」
寝ないといけないからね!
『分かりました! 楽しみです! やったー!』
「僕も楽しみだよ。それじゃまた日曜日ね」
『はい! ……おやすみなさい、真くん』
こ、これが彼女からのおやすみメッセージというやつか!
初体験だ……。
うん? 初体験っていうとなんかいやらしいな。
表現を変えよう。
今夜は彼女からおやすみと言われた初めての夜―――略して初夜だ。
……やっぱり妙にいやらしいな?
『真くん、どうかしましたか?』
一葉さんの心配そうな声が聞こえる。
僕は慌てて返事をした。
「いや、ちょっと考え事をしていただけだよ。おやすみ、一葉さん」
『はい! また日曜日にお会いしましょう!』
「ああ、日曜日ね」
電話を切る。
よし、日曜に備えて今は体を休めるぞ。
いや待てよ、何か忘れてる気がするんだが。
……あ。
しまった、行先とか集合場所とか、全然決めてないじゃないか!
マズい、今から電話かけ直して―――しかし、それだと自分の計画性のなさを露呈してしまうことになるんじゃないのか?
せっかく一葉さんが誘ってくれたのだから、ここは僕がデートプランを用意してから改めて連絡するのが筋というもの。
さて、どこへ行こうか?
……あれ? デートってどこに行けばいいんだ?
わ、分からん! 世間の男女がデート先として選ぶ場所が、僕には皆目見当もつかない!
ラブホ……とか?
いやそれは!
たとえお天道様が許してもこの僕が許さない!
そもそも18歳未満のラブホ入店は法律が許してない!
っていうか、女の子ってどういうところに行きたがるんだ?
くっそー、こういうことならもっと真剣にギャルゲエロゲの類をやっとくべきだった!
基本会話パートとか早送りしちゃうからな……。
もしかすると、こういうときに役に立ったかもしれないのに。
「あ、そういえば世奈のブロック解除しとかなきゃな」
約束は約束。
僕は世奈とは違って、やると言ったことはきちんとやる男だ。
アプリを起動し、『柊世奈』のブロックを解除する。
そのとき、僕の脳裏に妙案が浮かんだ。
「……そうだ、行先は世奈に考えさせればいいんじゃないか?」




