こちとらには一万二千枚の特殊装甲と! 〇Tフィールドがあるんだからっ!!!!
「修羅場、だとォ?」
鬼瓦が眉を顰める。
「そうだ! 保育園の頃から、滝行と言われて川に突き落とされたこと数千回、耐久度試験と言われて歩道橋から叩き落されたこと数百回、お医者さんごっこと言われてカッターナイフで切り裂かれたこと数百回、空手のサンドバックにされたこと数万回! その他諸々理不尽な目にあって来てんだよ、こっちは!」
部屋温めておいてと言われて、火鉢と一緒に部屋に閉じ込められたときはマジで一酸化炭素中毒になって死にかけた。
改めてひどい女だ、柊世奈!
「ビビってんじゃねえ! 親衛隊の名に懸けてこいつを痛めつけてやれ!」
「おおっ!」
集団社会というのは恐ろしい。
たとえ勝ち目がなくても、自分たちが多数派だと信じ込めば数的有利を盾にどんなものにでも立ち向かってしまう。
結果は見えているだろうに。
しょせん、進学校へ通うようなボンボンと僕じゃ経験値が違―――ひでぶっ!?
気が付けば顔面に強烈な一撃を食らっていた。
……そうか。たとえ耐久力はあっても、反撃できなければいずれはこっちがジリ貧だ。
これこそが数の暴力。
やっぱ多数派って強いわ。
だけど。
それでも。
「負けてられないんだよぉ! お前たちなんかにぃぃ!」
ようやく手に入れた自由だ。
ようやく手に入れた美人の彼女だ。
『非一葉三原則』なんていう訳の分からかないもののために、全部を奪われてたまるか。
鉄パイプや金属バットの殴打を左右へ躱し、僕は相手を一人ずつ仕留めた。
まず一人。
二人。
そして三人―――と、そこで腹部に強烈な一撃を食らった。
胃液がこみ上げてくる、が、ここで倒れるわけにはいかない。
踏みとどまり、再び相手に向かい合った瞬間、今度は鼻筋に拳の直撃を受けた。
一瞬意識が遠のき、そのまま僕は地面に倒れこんでいた。
クソ、結局僕は負け犬ってことか。
世奈と絶縁して、ようやく自分の人生を取り戻せたと思ったのに……。
と、その時、僕は見た。
見てしまった。
疾風のごとく集団に乱入してきた人影が、武器を持った男たちを次々と叩きのめしていく様子を。
瞬時に雑魚を蹴散らした人影は鬼瓦と一対一になると、鋭い回し蹴りで正確に相手の首筋を狙い撃ち、一撃で昏倒させた。
「あんたたち、よく肝に銘じておきなさい。シンを痛めつけていいのはあたしだけなんだからね」
う、嘘だろ。
なんでこいつがここに?
どうして僕を助けるような真似を?
「―――せ、世奈?」
「ひどい顔がますますひどくなってるわよ、シン」
乱闘に乱入してきた人影――それは、極悪非道で邪知暴虐な僕の幼馴染、柊世奈だった。
蛇足な元ネタ解説!
※1 「ひでぶ」
敵キャラがやられた時に発する鳴き声。
※2 「負けてられないんだよぉ! お前たちなんかにぃぃ!」
「劇場版エ〇ァンゲリオン 第26話「ま〇ころを、君に」」より。このあとに続くシーンは作者のトラウマである。
ちなみに「まごころを君に」というタイトルは、SFの名作「アルジャーノンに花束を」の邦題でもある。
さあて次回もサービスサービスぅ!
……ところで、暴走した初号機の声は林原めぐみさんがやってるって知ってました?




