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ぜつえん注意報!!

初心者です!

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「何よ、急に呼び出したりして。あたしに何か用?」


 昼休み。


 学校の屋上で僕――佐藤(さとう)しんは、幼馴染の同級生、ひいらぎ世奈(せな)と向かい合っていた。


「……どうして呼び出したか、分からないのか?」

「はあ?? あんたの考えてることなんて分かるわけないでしょ? ただでさえ何考えてるのか分からないようなアホづらしてるのに。バカなの?」


 僕を見下すように目を細めながら、耳に障る甲高い声で世奈は言った。


 この女は、小さい頃からこうだ。


 僕のことを自分より劣っていると決めつけ、この甲高い声で僕に命令してくる。僕のやることにいちいち口を出してくる。


 今通っているこの高校だって、世奈に言われて無理やり受験させられた高校だ。


 無理してレベルの高い学校を受けたので、当然クラスの人たちと話が合うわけもなく、僕は結局クラスカーストの底辺に位置付けられてしまった。


 本当は、別の学校へ行くつもりだったのに。

 地元の高校なら友達も多かったのに。

 わざわざバスを乗り継いで通うほど魅力のある高校でもないのに。


「どうしても分からないなら、もういい」

「何、その顔。あたしに文句があるの? シンのくせに生意気だわ。不愉快だわ。ねえ、あたしの貴重な時間を割いてわざわざ会ってあげてるのよ。そんな曖昧な話を続けるようなら、あたし、もう行くけど」


 世奈は心の底から不快そうに顔をしかめる。


 この女のこの顔が、僕は世界で一番嫌いだった。


 一つ息を吸って、ずっと前から言いたかった言葉を、僕は言った。


「ああ、行けよ。そしてもう二度と僕に構うな」

「……どういう意味よ、それ」

「そのままの意味だ。僕はもう、お前とは絶縁する」


 一瞬の間があった。


 驚いたように目を見開いた世奈は、


「―――きゅ、急に何言ってんのよ、ねえ」


 と、僕の肩を掴もうとしたので、僕はその手を払いのけた。


 世奈は簡単にバランスを崩して、そのまま屋上のアスファルトの上にへたり込んだ。


「さよなら、柊世奈」


 そう言った瞬間、僕の心の奥に引っかかっていた何かが消えたような気がした。


 僕は一度も振り返らずに、屋上を出て行った。



※※※



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