アベストロイアの悲劇①
他の話に比べて長いです。
重要なとこなので良かったら最後まで読んでもらえると嬉しいです。
アルトは考えていた。
もしもあの平凡で平和な世界が戻ったらと。
こんな事を思うようになったのはエミルのおかげだ。
2万年前の俺には邪魔な異分子でしか無かった人間。
しかし人間になって人と触れ合い知ったのは温かさだ。
結局裏切られ追われる身になってしまったが、俺はエミルが嘘をついていないことを信じてみたい。
もしもエミルが嘘をついてたのであれば人間などこの俺が今度こそ滅ぼしてやる。
でもエミルが言っていることがホントであれば、はめたヤツらを殲滅しよう。
それでも住みにくい世界であれば俺が世界を変えてやる。
アルトはエミルとの再会を胸に近い。
これからの進む道を決めたのであった。
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朝
アルト達は今日も外に出るための方法を探る為、探索に出る支度をしていた。
今日の空は雲がかかっており何だか不穏な空気である。
「アルト様今日は曇りですねー。わっち暗いのは好きですけど何だか今日の雲は嫌いです。」
「私も今日は変な胸騒ぎがしちゃって、分かれて行動するのは避けたがいい気がします。」
「お前達がそう言うなら今日はみんなで一緒に行動しよう。」
そう言って3人は家を出た。
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アベストロイア王国外東方向
飛竜と軍車がアベストロイア王国へ向け進行してきていた。
その一つの中にローブを被った者達がいた。
「今度は逃がさんぞ魔王アビストロ。お前を殺してエグゼリオンを真なる勇者の手に渡さなければならんのだ。大予言の魔王が復活する前にお前と遊んでる暇なんて無いのだ!」
それを聞いて皆が頷く。
「今こそ決戦の時。真なる勇者に光あれ!」
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アベストロイア王国外西方向
総数1万を超える魔人、魔獣が国へ向け足を進めていた。
そこの中心で有意義に話をする2人がいた。
「ガルドよ、あそこにアビストロがいるのか?」
「そうだあそこに最強とされた魔王アビストロがいる。真なる魔王様の為に邪魔なあいつを殺さなければならない。」
「なーに我エグリオの手にかかれば力を取り戻していない魔王など取るに足らんわ!」
「全ては新魔王様の為に。」
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「「緊急警報発令!緊急警報発令!」」
「「この国の西方向から大勢の魔人軍がこちらへ向け前進中!」」
「「繰り返す!西方向から大勢の魔人軍がこちらへ向け前進中!」」
「「精鋭部隊は直ちに戦闘配置!市民の方は避難をお願いします!」」
「な!?何が起こってんだ!?魔人の軍勢だと!何故このタイミングで。」
アルトは驚きが隠せない。
「「なんと東側からディスクラウド学園のものと思われる軍隊がこちらへ接近中!魔人の発生を察知し救援に来たものだと思われる!」」
待てよ、それはいくらなんでも早すぎる。奴らは俺を狙ってここに!?一体いつここがバレた!
「アルト様!今がチャンスです!この混乱に生じて街から出ましょう!」
アルト達は街の外へ向け全力で走り始める。
「「ドオォォーン!」」
西の城壁と東の城壁が大きな音と共に破壊される。
西川から大量の魔人達が押し寄せ東川からは学園の集めた精鋭達が押し寄せてくる。
「魔人だと!?そんなの聞いてないぞ!」
精鋭達は戸惑う。
「精鋭騎士だと!?奴だけじゃなかったのか!?」
魔人達も戸惑った。
そして魔人と精鋭達の戦いが始まった。
精鋭騎士の階級はダイヤモンド級からオリハルコン級の騎士で作られている。
そして魔人たちの力はおうよそプラチナ級からオリハルコン級の軍隊である。
「アルト様奴らが戦っている好きに早く!」
3人は門へ向けまた走り始めた。
門の前に2人のローブの騎士が立っている。
その一人は剣を抜き魔法を発動させた。
身体を水で纏い高速移動でこちらへ迫ってくる。
そしてもう1つ魔法を発動させたのか身体の周りに水の刃が作られた。
すぐさまアルトはエグゼリオンを掴むがやはり抜けない。
目の前から相手が消え水の刃が目の前から襲い掛かる。
そして背後からの一撃。
この攻撃には死角は無かった。
だが、アルトは水の刃を鞘に収まったままのエグゼリオンで消し飛ばし背後の一撃を受け止めた。
「この技、もしかしてお前は!」
剣を勢いよく弾くと共に大きな風圧が起き、ローブが吹き飛んだ。
アルトが見間違えるはずが無い。
その姿は、、、
「エミル、、、なのか、、?」
アルトは同様を隠し切れない。
「エミル?誰だそれは?」
「は?何言ってんだお前はどっからどう見てもエミル。エミル・マクギリスじゃないか!」
「エミル・マクギリス?そんな名前は知らん。我が名はアークア。剣聖アークアだ!」
鋭い蹴りだし。
鋭い剣技確かにエミルとは違い段違いの腕である。
数日でこれ程の力を手に入れれるはずがない。
しかしこいつはエミルだ。
すると後ろでニヤニヤ笑っている奴がいる。
「ハアーッハアッハァ!そいつはもうエミル・マクギリスでは無い。剣聖アークアだ!そいつに昔の記憶は存在しない!」
ニヤニヤ笑うこいつはアルトとエミルの担任をしていたクラウスである。
「なんだと!貴様エミルに何をした!」
剣聖アークアと剣を交えながらこいつと話すのは少し困難である。
アルトは剣を弾き距離を稼ぐ。
「なぁーに。先祖還りの魔法を使って魂を転生前に塗り替えただけさ。」
アルトの中で何かがキレた。
「お前だけは絶対に許さない!」
アルトは抜けないエグゼリオンで殴り掛かるがそれをアークアが阻止する。
「お前の相手は私だ。」
「邪魔をするなー!!!」
アルトはアークアを弾き飛ばしてクラウスの方へ行くがやはりアークアが目の前に立ちはだかり近ずけない。
「何してるんですかアルト様!一気に消し飛ばせば一瞬でしょ!」
「何言ってんだこいつは俺が守ると決めた人間だ!殺せないに決まってるだろ!」
「アルト様にそこまてま言わせるなんて·····。ならあっちの方は私が殺りますね!」
ニムル勢い良く地面を蹴った。
その瞬間ニムルはクラウスの懐へ入り超速の斬撃を放つ。
しかし!
ニムルの斬撃は空を切り、クラウスの蹴りがニムルをとらえた。
ニムルは近くの家に激突しそのまま倒れた。
「なんだと!?ネネ!ニムルの回復を!」
すぐさまネネはニムルに駆け寄り回復を施す。
ニムルが一撃だと?何者だこいつ。
「私も甘く見られたものですねー。こう見えて私はレジェンダリーですよ?力を取り戻していない貴様らに深手を追うとでも?」
すかした顔でニヤつくクラウス
どこまでも腹立たしいやつだ。
「いつまでよそ見してるんですか?」
気が付くとアークアは懐に入り込んでおり渾身の一撃を放ってきた。
アルトは気付くのが遅れ防ぎ切れず壁に激突した。
「く、そ、、エミル、目を覚ませ、、、。俺とお前の仲はそんなもんだったのか、、、?」
「だから私はエミルでは、、!」
アークアの見に変化が起きた。
「ア、ルト、助けて、、、。」
アークアの片方の目から涙がこぼれ落ちる。
「アルト、私は、貴方をうらぎって、ない、、、。しん、じて、。」
「クソ!なんだこれは!身体の中から違う感情が、、、!」
「エミル!やっぱりお前利用されただけだったんだな!」
「わ、たしは、何も、知らない、、、!信じ、て、!」
「エミル。俺がお前をそいつ等から絶対救ってやる!待ってろ!」
その時エグゼリオンの枷が外れた。
「お前を縛るその魔法から俺が解放してやる!」
エグゼリオンを構えるとアルトの持つ闇の力ではなく光の力のみが身体から溢れ出す。
「ア、アルト様から光の力が、、、!?」
ネネもニムルも驚きである。
混沌の世界に導こうとした魔王アビストロが勇者の剣を持ち光の力を行使しているからだ。
「俺の内なる力に潜む光の力よ、今全ての魔法を打ち消さん。ライト エクステンション!」
エグゼリオンから放たれた一撃はアークアを包み込んだ。
「アル、ト?」
光が消えそこに立っていたのは正気を取り戻したエミルだった。
「アルト!」
エミルは、アルトの方へ駆け寄ろうと走り出す。
しかしエミルの後ろには既に奴がいた。
「やはりまだ日が浅かった様ですね。途中で先祖還りが崩れ始めるなんて。」
クラウスはエミルの首に手刀を入れ気絶させた。
「はぁ、先祖還りをまた使うには数ヶ月かかるんですよ?なんて事をしてくれたんだ。」
「エミルを離せ!」
アルトはクラウスに斬り掛かるしかしクラウスはそれを簡単に交わしアルトは意図も簡単に蹴り飛ばされた。
「今日は、この辺で帰らせてもらうよ。先客もいるみたいだしね。」
クラウスが手をかざすと空間に穴が空いた。
「空間、魔法だと、、!?」
「次会った時は殺すから。君が生きていればだけど。」
そう言ってクラウスはエミルをつれ空間の穴に消えていった。
「ははぁー、やっと見つけたよ。魔王アビストロの生まれ変わりくん。」
そう話しかけてきたのは黒の正装を着た金髪の男であった。
「私の名前はエグリオ。君を殺す男だ!」
クラウスの攻撃でまだ起き上がれていないアルトに間髪入れずに殴りかかって来た。
しかし横からニムルが入ってきてエグリオに斬り掛かる。
「ほほぉー。危ない危ない。服が汚れるところだったよ。」
「アルト様わっち回復しました!無事ですかアルト様!」
小さな身体がアルトを守ろうとしている。
しかしエグリオは別格だニムルが敵う相手では無い。
そんな時、またしても横からアルトに向け大きな大剣が振り下ろされる。
「アクアキャノン!」
アルトに向けられた一撃を今度はネネの魔法が防ぐ。
「ガルド、少し遅かったなでは無いか。」
「なに少し遊び過ぎただけだ。」
「私達がアルト様を守ります。」
ネネもアルトを守るようにアルトの前に立った。
しかしこの2人では分が悪すぎる。
おうよそこいつらの力はレジェンダリーを超えている。
まだ昔の力を解放出来ていない2人では到底叶う相手では無い。
「なんとも情けない。」
アルトは呟いた。
「この俺が部下に守られる様な時が来るとは。」
周りではクラウスの撤退により学園側は退避し、アベストロイア王国の精鋭達はほぼ壊滅状態と言っていいだろう。
その証拠にまだ兵士達は戦っているがどんどん魔物や魔人がここに集まりアルト達は取り囲まれた状態である。
「ニムル、ネネ。お前らに感謝するぞ。この2人は俺がやる。俺の後ろに下がれ。その代わり後ろの雑魚どもは任せたぞ。」
アルトは2人に笑いかける。
それと同時にエグゼリオンから新たな力が湧き上がってくる。
そう、それはさっきとは打って変わって闇の力だ。
本来エグゼリオンは勇者の剣であり勇者の力である光を力に変えたものだ。
しかし今持っているのは深淵の闇をこよなく愛する魔王アビストロの転生体。アルト・セシスタだ。
その闇は深淵のように真っ暗だが何処と無く暖かい。
それはアルトの中に生まれた小さな光。
闇と光が共存する事によって生まれるのは共に濃くし合う力。
光あるとこに影が生まれ影があるとこに光はある。
その小さな光はアルトの闇をいっそ濃ゆくした。
「俺の名前はアルト・セシスタ。魔王アビストロの生まれ変わりにして。光と闇を共存させる者だ。」
こいつらを倒して絶対に助けに行くからな。
待ってろよ、エミル。
アルトはエグゼリオンを強く握ったのであった。
ディスクラウド学園との戦いでエミルの真意を知ったアルト達は、クラウスに連れられて行ったエミルを助ける為、目の前の新たな敵エグリオとガルドを倒し、この街を出ることが出来るのか!?
エグゼリオンの新たな力を発動させたアルトとその仲間達対レジェンダリー級の魔人率いる数千の魔人達の戦いは。
これから激化する!
次回をお楽しみに。




