アルトの決意
序章が終わります。
心して見てください。
アルトの創り出した漆黒の世界。
そして魔王の配下によって書き換えられたフィールド術士。
それをくらい尽くすアルトの力
そんな中に2人は居た。
そして魔王の配下を倒したアルトは今まさに新たな窮地に立たされていた。
「あのさ、アルトって、魔王アビストロの生まれ変わりなの?」
「何言ってんだエミル!そんな、俺が魔王アビストロの生まれ変わりな訳ないだろ?」
まずいこの事は誰にも知られたくなかった。
勢い余って言ってしまったのを聞かれていたのか。
「別に隠さなくてもいいぞアルト。あんな異常な力を持った相手と一人で戦って普通勝てるはずないし。あんな場面でハッタリかますほど馬鹿じゃないでしょ?」
いつもは馬鹿なのになんでこんな時だけこいつは感がいいと言うか冷静というか。
とりあえずエミルの記憶をどうにかしないと。
「それよりアルト、私はあんたの言葉が嬉しかったの。あんたが魔王であろうが元魔王であろうが今はアルトではないか!私を守ってくれるんでしょ?」
何事もないかのように笑顔を投げかけるエミル。
「しかしエミル、お前怖くないのか?俺は世界を混沌の闇に染めようとした魔王アビストロの生まれ変わりなんだぞ!?」
「だからなんだって言うのよ。今は私の幼馴染のアルトじゃない。私を守ってくれるんでしょ?魔王アビストロが守ってくれるんなら百人力どころか万人力よ!」
アルトは少し微笑んだ。
「でもこの事は誰にも言うなよ?バレると厄介だ。」
「わかってる!誰にも言うはずないじゃない!」
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そんな話をしている内にアルトの力が術式を完全破壊した。
「エミル!アルト!二人共無事か!」
「クラウス先生!魔王の配下が現れました!アルトが何とか倒しましたが、まだ奴らの仲間が学園に潜んでいるかも知れません。」
「魔王の配下が!?一体どうやって、この学園の結界は万全のはず!」
この学園に対魔族用結界が貼られており魔の存在は入る事は出来ないのである。
アルトは元魔王とは言え今は人間なのでこの効果は該当されていない。
「とりあえずその件はこちらで詳しく調べよう。しかしどうやって魔王の配下を倒したのだ?」
「アルトのエグゼリオンが力を貸してくれたのです。」
「そうか勇者様が力をさずけてくれたのか。」
クラウスはニヤリと笑ったように見える。
「?」
「わかった。とりあえず今日はゆっくり休んでくれ。」
アルトとエミルは家に帰ることにした。
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「送り込んだ魔族は、思惑通り倒したようだな。」
「やはり彼らは選ばれし者の様だ。」
「演習場に残された魔力は闇が濃かったようだぞ。」
「ふふふ、もしかすると奴なのかもしれんな。」
「奴かどうかは既にもう分かりきったこと。」
「まぁ奴があの剣を手にするとは神も酷いことをする物だ。」
「真意を見せてもらうぞ。アルト・セシスタ。」
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次の日
アルトとエミルは大会議室で審議を受けていた。
そう、エミルがクラウスに話した事は嘘の証言だと言う事になったのだ。
「アルト・セシスタお前には生徒2名の殺害の容疑がかけられている。」
「違う。俺が倒したのは魔王の配下だ。」
「しかし魔王の配下の死体などはどこにも無かったではないか。」
「それは俺が跡形もなく消し飛ばしたからだ。そこまで言うならお前らにだって俺が生徒を殺した証拠は無いだろ。」
男はニヤリと笑う
「証拠ならあるさ、大演習場お前らが戦ったその戦場に2人の死体を発見した。」
「なんだと!?」
これにはアルトも驚きが隠せない。
「お前はフィールドに入り何らかの方法で術式を書き換え外からの干渉を受けない状態で2人を殺した。違うかね?」
「違う!術式は奴らの術式だ!」
「茶番は、辞めにしませんか?」
笑いながらクラウスが割って入ってきた。
「こんな事君にしか出来ないのだよ。アルト・セシスタいや魔王アビストロ。」
「なんでお前それを!」
アルトはエミルを見るするとエミルも驚いた表情である。
「違う、わたしは、何も、」
「そうそうエミルくんに聞いたんですよ。君が魔王アビストロの生まれ変わりであることを。」
「違う!わたしは何も言ってない!信じてアルト!」
「何を言ってるのですかエミルくん。君は剣聖アークアの生まれ変わり。魔王を恨んでたでは無いですか。」
「そんなの知らない!わたしはエミル!エミル・マクギリスよ!アークアなんて知らない!信じてアルト!」
裏切られた?
しかしエミルは違うと言っている。
信じるべきだ。
しかし俺が元魔王アビストロだって知っているのはエミルだけ。
それ以上に裏切られたと裏ずけできる意味はないんじゃないのか。
そうだ
裏切られたのだ
やはり人はこんなものだったのだ。
「お前ら、俺をはめたんだな?」
「ふふふ、勇者の剣を持ちし魔王よ、エグゼリオンの力でお前は本来の100分の1も力を出せんのであろう。今のうちに死んでもらうぞ。」
アルトはエグゼリオンを持つことによって本来の力を100分の1ほども出せない状態である。
しかし1つの誤算とすればエグゼリオンはアルトを認め力は出せないものの光と闇を共存させる新たな力を手にしているのだ。
「ちっ、分が悪い。」
今は逃げるしか無かった。
襲いかかる兵士を押しのけ学園いや、街の外を目指す。
やはり人間はクズの集まりだ。
信じた者さへ敵だった。
いずれお前らを滅ぼしてやる。
「エミル...。」
そう口ずさみアルトは人間への復習を心に決めたのであった。
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「アルト・セシスタ。魔王アビストロの生まれ変わりにして魔王と人、両方から嫌われるもの。」
「孤独の魔王。」
「面白いじゃない。」
そう呟き静かに彼女は微笑んだのであった。
次から本編が始まります!
これからのストーリーをお楽しみに!




