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エミル救出編 後編

ついに決着!

黒い力を身にまとったアルトはクラウスを睨み付ける。


その瞳には魔力が込められており睨みつけられただけでクラウスの体は硬直した。


「貴様、どこからそんな力を、、、!」


「これが俺の本来の力だ。今までお前が見ていた俺の力は、俺本来の力の10%今からお前に死を味あわせてやろう。」


アルトはクラウスの方に右手を突き出す、するとその手に小さな闇の炎が浮かび上がった。


「まぁお前程度この魔法で十分だ。フレイ。」


フレイ、それは火の特性を持つ者なら誰でも使える初級魔法 フレイである。


しかしその色は闇色に染まり全てが異質である。


「ははっ、フレイだと!?私を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」


クラウスは、気合いで硬直を解き、魔法の構えに入る。


「お前なんぞこれで無に返してやる!禁 破滅魔法デス ヘル ゲリュム!」


それは次元すらも捻じ曲げる程の高密度エネルギーをもち、大陸を消し飛ばずとも言われる禁忌魔法である。


「消え失せろ!アルト・セシスタ!」


クラウスの手からデス ヘル ゲリュムが放たれた。


「何をしようが無駄だ。」


アルトの手から、フレイが放たれる。


フレイはアルトの手から離れると同時に超高出力魔法に変り、飛んで行く。


そしてアルトのフレイは、デス ヘル ゲリュムをいとも簡単に飲み込んだ。


「貴様!それのどこがフレイだと言うのだ!」


「これがお前と俺との力の差だ。最低魔法でも魔力量の差でお前の全力など消し飛ばせるという事だ。」


デス ヘル ゲリュムを飲み込んだ、アルトのフレイが、クラウスに近づく。


「おぼえてろよアルト・セシスタ!死んでもお前を殺してやるか、ら、、、なっ!!!!!!」


クラウスは飲み込まれ跡形もなく消し飛んだ。


そしてフレイは、方向を変え天高く舞い上がり結界を突き破った。


するとそこから外の光が差し込んだ。


「クラウスを倒したのね、、、!」


「アルト様!その力!」


「魔王の力が復活したのですね!」


「アルトやっぱりお前は凄いな!」


皆がアルトに話しかけてくる。


「そう、これは2万年前の本来の俺の力だ。」


「でもな」


アルトの姿が少しずつ変わり始めた。


「この力は人間の肉体じゃ扱いきれないんだ。」


アルトの髪が半分白髪になり、右眼は金色へと変化した。


「だから、俺の体にエグゼシスの力を同調させたんだ。」


そう言ってアルトは少し笑った。


(そう、アルト、僕は君をサポートするために僕の体と精神を君に分け与えた、だから君はもう人間じゃなくなったのさ。)


「俺、もぅ人間じゃないんだ。」


皆は一瞬固まった。


アルトは本来の力を使うため、仲間を守る為にに人としての生を辞めたのだ。


「なーんだそんな事?元々魔王の生まれ変わり何だからそんな事で驚くわけないじゃない!アルトは、私の事助けてくれたんだから人でも魔人でも構わないわよ。」


エミルは笑顔でそう言った。


「それでアルト、お前魔人にでもなったのか?」


笑いながら拓斗が質問した。


「いや、それが、半分神になったみたいなんだ。」


アルトはそう言って顔を伏せた。


「アルト様、神ってあの神ですか?」


「ほんとに神になられたのですか?」


神とは、2万年前の戦いにおいての第三の勢力。


2万年前の戦いで魔王アビストロが一番苦戦したのは、人ではなく神なのだ。


そして魔人が一番嫌いなもの、それも神なのだ。


「私達は、神が嫌いです。しかしアルト様は別です。アルト様が魔人であろうが、人であろうが神であろうが私達の忠誠は揺らぎません!何よりも半分神になってしまったアルト様の方が辛いと思うのです。」


「だから何も心配することはないですよ!アルト様!私達の忠誠は絶対です!」


そう言ってネネとニムルは笑った。


それを聞いてアルトもほっとしたようだ。


「それでアルトこれからどこか行く宛あるの?ディシディス国には戻れないし、これからどうするの?」


エミルが不安な表情を浮かべている。


「とりあえず、アベストロイア王国に向かおうと思う。あの国なら俺達を歓迎してくれそうだしな。」


ニムルとネネも納得の表情で顔を見合わせた。


「それじゃアベストロイア王国へ出発だ!」


エミルを奪還し、クラウスを倒したアルト達はアベストロイア王国へ向かうのであった。

次回新章に突入します!

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