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見透す者

第2章が始まります!

アルト達はアベストロイア王国を後にし、ディスクラウド学園に向かっていた。


「あんな風に人に感謝されるのも悪くないですね!少しだけ人が好きになりましたよ。」


「ニムルの言う通り私も人が苦手だったんですけど少し好きになりました。」

ニムルとネネは上機嫌で足を進める。


あんな人達がいるってことが分かっただけでもアルト達の人間へ対する意識は変わったのであった。


2万年前、アルトの知る限りではアベストロイア王国の人達のような人間は見た事がない。


まぁ魔王にそんな情を向ける人間などいるはずがないのだがな。


「人になって人を知ったと言う所か。」

アルトは静かに笑みを残した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数時間後


ディスクラウド学園に向け一直線に進むアルト達は1つの村に辿り着いた。


「アルト様ー、今日はここで休みましょうよー。」


「そうだな。今日はここで休むとするか。」


そう言って村の中に足を進めた。


しかし様子がおかしい。


「なんか騒がしいですね、アルト様。」


「何かあったのかな?」


アルトは村の住人の1人に声をかけた。


「何かあったのか?」


「子供が魔人にさらわれたんだ。今魔人から子供を取り戻す方法を皆で話し合ってる途中だ。」


魔人か。アベストロイアの戦いの時に逃げた奴がいたのか?


でもあの時全部魔人はエグリオに取り込まれたはず。


なら違う魔人か?


でも、もしあの戦いから逃げた魔人であれば俺にも非がある。


「その話俺達にも詳しく聞かせてくれないか?力になれるかもしれない。」


「それはありがたい!実はつい数時間前この街に一体の魔人が現れて食物を寄越せと言って来たんだ。それを村長が断ったら村の子供を連れて行ってしまったんだ。私達じゃ束になっても魔人にはかなわないのに魔人に逆らうからこんな事になるんだ。食物くらいわたせば良かったのに。」


「それで魔物はどこに?」


「それがどこに逃げたかわからないんだ。」


「それじゃ探し用が無いじゃないか。」


すると後ろから一人の男が割って入ってきた。


「あの、それなら僕の力が役に立つかもしれないです。」


その男はこっちの世界では見ない姿をしており。黒髪で凄い軽そうなTシャツに薄い長ズボンを履いている。

どう見ても防御力0の装備だ。


「お前は?」


「僕の名前は嶺 拓斗(みね たくと)。日本から来たんだ!」


「にほん?どこだそれは。」


「あぁ、やっぱり知らないか。気にしないでくれ!」

少し寂しそうに拓斗はうつむいたがすぐに気を取り直した。


「それでお前の力が役に立つってどういう事だ?」


「僕の力は見透す者!人の心の色を見たり周囲数十キロメートルをこの場から見ることが出来る。」

そう言ってニッコリ笑った。


「おぉ!なかなか便利な力ではないか!確かにその力を使えばさらって行った魔人も見つけきれそうだ。」


「なら魔人と戦う準備が整ったら言ってくれ!この力効果や範囲が強いのを使うと少しの間発動できなくなるんだ。」


「わかった。でも準備は問題ない。すぐに始めてくれ。」


「え!?魔人って言うくらいだから強いんじゃないの?準備しなくてもいいレベルなのか?」

少し難しい顔をする拓斗だがアルトはだからどうしたと言う感じである。


「わかった。なら始めるよ!」


そう言って拓斗はアルトの見たことも無い術式を組み始める。


「見透せ!イーグル・アイ!」


術は発動しているがこちらでは何が起こっているのかが一切分からない。


それを唱えた数十秒後


「見つけた!ここから北西に3キロほど進んだ所にある洞窟に子供と一緒に潜んでる!魔人の数は1体だ!」


「お前洞窟の中とかまで分かるのか!」


「ちょっと力を強くすれば物も透けて見えるんだけど、これを使うと体の中の力をどっと持って行かれるような感覚に陥るんだよね。」

拓斗は苦笑いした。


「アルト様ー、魔人1体くらいならわっちに任せてください。もしもやばかったら救援の合図上げるのでここで待っててください。」

ニムルは胸を張ってアルトに進言した。


「ならニムル任せたぞ。」


「うむ!」


「そう言ってニムルは光の様な速さで走って行った。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ニムルはものの数秒で目的地に到着した。


「ここに子供をさらった魔人がいるのか。アベストロイア王国ではいい所見せられなかったからここで活躍してアルト様に褒めてもらうんだー!」


ニコニコしながらニムルは洞窟の中に入った。


すると呆気なくそいつは姿を現した。


「ほほぉ、嬢ちゃん1人で何しに来たの?勇敢に友達でも助けに来たのかい?」

そう言ってニムルを見て魔人は笑う。

「ガキは家に帰んな!それともこの子供と一緒にわしに食われたいのか?」


その時ニムルの中で何かがキレた。


「あぁ?誰が嬢ちゃんだ。苦痛で自害したくなるくらい八つ裂きにしてぶっ殺すぞ。」


「舐めてんのかクソガキが!!!!」

そう言ってニムルに魔人が襲いかかってきた。


しかしニムルは通り過ぎるようにそれを交わした。


すると魔人の右腕が地面に落ちた。


「ああぁぁぁぁあ!!!!」

洞窟内に魔人の苦痛の叫びが響き渡る。


「ちょっと黙れ。子供が怯えてんだろ。」


そしてニムルは拐われた子供の方に近寄り子供達に告げる。


「ちょっと耳塞いで目を瞑っててねー。子供には刺激的過ぎるからー。」


そう言って魔人の方へ振り返った。


「さぁ、続きと行こうか。」

そしてニムルはニヤリと微笑んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

子供を救いに行ってから10分後ニムルは子供を抱えて帰ってきた。


「いやースッキリした!」

ニムルは超ご機嫌だ。


親元に届けられた子供は凄く怯えて泣いていた。


何に怯えているかは言うまでもない。


そして後日あの洞窟に向かった村人がこま切れの肉の塊を見つけたのは言うまでもない。


「アルト様!しっかり子供を助けてきました!」


「どんな魔人だった?」


「えっとー、クソザコナメクジ過ぎて忘れました!」

ニムルはにこりと笑い、察したのかアルトはそれ以上の事を聞くのを辞めた。


そして村人達が集まってきた。


「うちの子を助けていただきありがとうございます!!!!」

「凄いぜ!あんなすぐに子供を助けて戻ってくるなんて!」

「この村のヒーローだ!」


アルト達は讃えられ宿代とご飯代が無料になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その夜


アルト達は今後の事を話し合っていた。

「この村を明日出るぞ。一刻も早くエミルを助けたい。」


「でもアルト様、ディスクラウド学園に着いたとしてどうやってエミルを助け出すのですか?あの時のような敵が現れたらかなり厳しいかと。」


「クラウス。次奴が現れた時エグゼシスを召喚出来れば勝機はある。もうそれにかけるしかない。」


そんな話をしていると外が騒がしくなってきた。


「魔人が攻めてきたぞ!!!!」

「火事だ!!!!!」

「女子供を避難させろ!!!!」


「魔人だと!?」


アルト達は急いで外に出た。

するとそこには数十匹の魔人が攻めてきていた。


「今日この村に行った同胞の魔力が消えた。良くも我が同胞を殺してくれたな!この村を焼き払え!!!」

羽根の生えた魔人達は村に向け下級魔法ファイアーボールを撃ち込んでくる。


「ニムル、お前達は村人の救援と避難!ネネは村を燃やす火を消せ!」

アルトが指示をするとそこに拓斗が現れる。


「アルト!僕は何をすればいい!」

拓斗の瞳は真っ直ぐアルトの方を見ている。

その瞳には村の人達を助けたいと言う信念すらも感じる。

そしてアルトはタクトに指示を出した。

「お前はニムルと一緒に村人達の救助と避難を!お前のその力頼りにしてるぞ。」


「ああ!任せろ!」

そう言うと拓斗はにこりと笑った。


指示を出し終えたアルトは魔人に向き直る。


「この村には少し恩ができた。だからこの村に手を出すと言うなら容赦はしない。手を出した事を後悔しろ。」


「こざかしい!やれ!!!」


魔人達がアルトに向かい攻めてくる。


するとアルトは右手を魔人達に向けた。


「悔いて死ね。深淵龍の咆哮!」


アルトの目の前に巨大な魔法陣が浮かび上がりそこから強力な深淵の闇をも思わせる破壊光線が打ち出された。


それに触れた全ての魔人達は深淵の闇に飲み込まれたかのように姿を消した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アルトが魔人達を消したと同時にネネは火災の消化を終わらせニムルと拓斗は救援と避難を終わらせていた。


「終わったな。」

そう言って笑顔で振り返った。


「さっすがアルト様!武器も出さずに終わらせるなんてさすがです!」


「アルト様ならこのくらい当然です!」


そう言ってニムルとネネが近ずいてきた。


「あ、あの!僕も仲間に入れてくれませんか!?」

真剣な眼差しでアルトを見つめる拓斗。


「お前は、なんで俺達の仲間になりたいんだ?」


「それは、、、。ただ君達と一緒に冒険してみたい。何より見ず知らずの人達を助けるその姿に運命的な何かを感じたから。それと君の心は不思議な色と形をしている。」

そう言ってにっこり笑った。


アルトはため息をついていった。


「わかった。仲間になりたいならついてくればいい。その代わりその命に保証はないぞ。」

アルトは真剣な眼差しで拓斗を見た。


「ああ!望む所だ!」

拓斗は拳をアルトに突き出した。


アルトは静かに微笑んだ。

もしかすると挿絵も描き始めるかもしれないです。

他の絵も忙しいからそこはあまり期待しないでください!(笑)

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