アベストロイアの悲劇③
ついにアベストロイアの悲劇完結です!
魔王と化したエグリオは静かにアルトの方へ歩き出す。
「お前だけは命にかえても殺す。」
そう言って手をかざすとエグリオの前に1本の剣が現れる。
「魔剣ゼルバノフ。」
その暗黒色に染った魔剣をエグリオは掴み姿を消した。
いやただ見えなかっただけだ。
気がついた時にはアルトの懐へ入り剣を振り抜こうとしていた。
「速い、、!」
ギリギリの所でアルトは奴の斬撃を防ぐ。
そこからエグリオの連撃が始まった。
アルトは防ぐので手一杯で反撃に移れない。
「なんだその程度か?」
エグリオは剣に力を貯める。
「ヘルスラスト。」
エグリオの闇の斬撃にアルトは弾き飛ばされた。
そこに追い討ちをかけるようにエグリオは魔法を発動させる。
「死んで新魔王様の糧となれ。ヘルバーストレイド!」
全てを飲み込む闇エネルギーの塊がアルトへ向け飛んでくる。
アルトは立ち上がり魔法を止めにかかった。
「全ての魔法を打ち消せ、ライトエクステンション!」
全ての魔法を打ち消す光はヘルバーストレイドを飲み込む。しかしやつの力の方が遥かに大きく打ち消すことが出来ない。
「なんだと!?」
アルトはヘルバーストレイドを剣で受け止めにかかるが止まらない。
そしてアルトはヘルバーストレイドの中に飲み込まれたのであった。
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薄れ行く意識の中アルトは考える。
このまま死んでしまうのか?
俺は死にきっとネネもニムルも殺される。
そして俺に助けを求めたエミルも助けられない。
なんて俺は弱いんだ。
2万年前最強最悪とまで言われたこの俺があんな魔王もどきに殺られるのか?
何がいけなかったか?
人に転生し、平和と平凡を知り人の良さを知った。
それにかまけてたのがいけなかったのか?
俺はどうしたら良かったのか?
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その昔、光と闇は共存していた。
そして光と闇は共に補う存在であった。
そんな時闇の中に悪が産まれ光はそれを倒すべく戦士を作った。
その時光と闇は対立し対立するした武器エグゼリオンとエグゼガルドが産まれた。
もしもその武器を2つとも持ち光と闇を共存させる戦士が産まれた時、、、、、。
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アルトの心は悪である。
しかし今その悪は善により始めている。
今のアルトの心は破壊、滅亡ではなく。
救う平和に変わりつつある。
そして傾く力に応えるべく世界は回り始めた。
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アルトを闇の中に閉じ込めたヘルバーストレイドはアルトの消滅を待つかのようにその場に留まり続ける。
逆上したニムルとネネは自分の持つ最大限の力で攻撃を仕掛ける。
「水具現化魔法 リーグルハイド!」
「魔装 紅の狂乱者!」
「よくもアルト様を!死ね!滅龍の水撃!」
「絶対許さない!ソニックフレアドライブ!」
2人の最大の力はエグリオに向け放たれた。
しかしエグリオはそれを難なく打ち消す。
「その程度か?お前達も奴同様死ね!」
「ヘルバーストレイド!」
無情にもその技は2人に向け放たれた。
その時だった。
2人を庇う様に1人の男が現れた。
その男は半分白髪半分黒髪の男であり懐かしい面影を感じる。
「待たせたな!」
そう言って難なくヘルバーストレイドを切り裂いた。
「アルト様、、、?」
「あぁ!」
そう言ってニッコリ笑う。
「貴様死んでいなかったのか!」
「お陰様で死ぬかと思ったけどな。」
アルトは1本の剣を構えた。
その剣はエグゼリオンでもエグゼガルドでも無い。
「そもそもエグゼリオンとエグゼガルドは1本の剣だった。それが悪魔の始祖の誕生により二つに分かれた。そして絶対の悪とされた俺が善の心を持った時2本の剣は1つとなり俺に光と闇の共存を求めた。それがこの剣エグゼシスだ。」
アルトの体に大量の善の光と共存する闇が流れ込んだ事によりアルトの体に変化が起こった。
髪は右半分が白になり右の瞳は黄金に輝き光の紋章が浮かんでいる。
そしてその剣は悪を断つ光であり光を護る闇である。
「これで終わりだ!光の深淵壱の刀 ジャッジメント!」
エグゼシスから繰り出されたその一撃は闇と悪を飲み込みエグリオに迫る。
「お前が死ね!ラストオブエンパイア!」
強力な闇の一撃が放たれる。
しかしアルトの一撃はそれを飲み込みエグリオを捕らえる。
「全てを飲み込み光よ刺せ!ジャッジメント!」
エグリオを包んだ光は、大きな十字架となり空を埋めていた闇と雲は全て消え去った。
そしてその光はエグリオを消滅させ国中の人間の傷を癒す光となった。
「終わった。」
アルトはエグリオを倒したのだ。
役目を果たしたエグゼシスはエグゼガルドとエグゼリオンに戻りアルトもまた元の姿に戻ったのであった。
「二人共無事か?」
2人の方に振り返ると2人はアルトに抱きついてきた。
「アルト様ーーー!!!死んだと思ったーーーー!」
「いやいや、俺も死んだと思ったぞ。」
そう言って笑ったのであった。
そして3人はディスクラウド学園に向け足を運ぼうとしたその時1人の男がやってきた。
「アルト様、この方はこの国の王様でございます。」
「お、王様!?王様がなんでこんな所に?」
「この国を救ってくださりありがとうございます。」
王はアルトに頭を下げた。
「いや、元はと言えば俺のせいでこんな事になったんだ礼なんて言われる様な立場では無い。」
「しかし私は貴方に真の勇者の光を見た。」
「俺は元魔王アビストロの生まれ変わりだと言ってもか?」
アルトは隠さず自分の素性を明かした。
「貴方は魔王アビストロの生まれ変わりであっても魔王アビストロでは無い。その証拠に貴方は勇者の剣エグゼリオンを持っている。何より貴方には善の心がある。違うかね?」
アルトの瞳から涙がこぼれ落ちた。
初めてアルトはエミル以外の人間に自分のほんとの姿を肯定してもらえたのだ。
「真の勇者よ、名はなんと言うのかね?」
「俺の名前はアルト、アルト・セシスタだ。」
「そうか。アルト・セシスタよ、困ったらいつでもここに来なさい。私達この国一同は、真の勇者アルト・セシスタを全力で支援しよう。」
すると王の後を追うようにどんどん人が集まり始めアルト達を祝福する。
「ありがとう!」
「ありがとう勇者様!」
「この国を救ってくれてありがとう!」
アルトの口から笑みがこぼれアベストロイア王国を後にしたのであった。
「こうやって人に感謝されるのも悪くないな。」
アルト達は笑顔をこぼし、エミルを救けるべくディスクラウド学園へと足を進めたのであった。
これから少し忙しくなるので更新ペースが週に2話から3話くらいになるかもしれませんが頑張って書いて行こうと思うので応援よろしくお願いします!
応援されたら頑張れます(笑)