傭兵 白百合団
もう一度やり直し。思わぬ事になったけど、面白いエンディングってなんだ? ハッピーエンドは面白いのか? バッドエンドなら? 僕が死ぬのは面白くないエンディングみたいだし、他の団員ならいいのか?
考えても答えが出ないし、そろそろゴブリンに見つかるころ……
「グギャッ」
はい、見つかりました。今回は速さのチートをもらってるから、力試しの為にも全開で……
十匹を二秒なら十分じゃないかな。ただ速くなるだけなのか使えそうなチートだ。 ……しまった。本当ならここで逃げなきゃダメだったのに。ゴブリンに追いかけられて白百合団に助けてもらう予定が狂った。
神様は白百合団とエンディングをって言ってたからやっぱり白百合団と会わないと。森を抜けた街道に来るから行って……。 少し気が重いのは僕だけか……
あの時はゴブリンに追われてボロボロな状態で白百合団に助けられたけど、今は怪我一つ無いし汚れてもいない。こんな状態で助けを求めてもプリシラさんに切られる気がする。
いろいろ考えているうちに街道でまで来ちゃったし遠くに見える見慣れた馬車は白百合団。行き当たりばったりで行くしかないかな。
馬車が近付いて来たのを見て大きく手を振りながら駆け寄ってみた。馬車の運転はアラナか。なんか久しぶり。
「おぉ~い。こんにちは~」
正面に立っても馬車止まらないし引く気か。アラナなら止まると思ったのに。
「プリ姉、野盗みたいッス」
「引いちまえ!」
せめてこっち見ろ、プリシラ。どうせ荷台で酒でも飲んでるんだろう。
「野盗じゃないです。この辺りにゴブリンやトロールが出るんです。危ないから帰った方がいいです」
「知ってるッス。それを片付けに来たッス」
えっ?! 記憶と違う。予定ではこの先の村の殲滅だったはず。 確か領主から村の殲滅を依頼されて僕と会って夜のパーティーになって、村への到着が遅れて村人が逃げたはず。それで領主に失敗の報告をしたらプリシラさんが領主を切ってみんなで逃げた記憶なのに…… 考えたら酷い事をしてるね。
「トロール退治に雇われたんですか?」
「アラナ! うるさいから、そいつ引け!」
プリシラ、後で覚えておけよ。鳴かしてやる。それとアラナ、馬車を動かすな、引く気か!
「待って下さい、団長。話を聞きましょう」
やっと出ましたソフィアさん。あなたが一番常識人。
面倒くさそうに起き上がったプリシラさんは荷台の上で仁王立ちになり
「てめぇ何者だ!」
と威圧した…… が、怖くねぇよ。慣れてるもん。ライカンスロープの時は怖いけど。
「ぼ、僕はミカエル・シンと言います。隣村からこの先の村まで行こうと思ってたんですけど、途中でゴブリンやらに襲われてしまって武器も無くしてしまったんです」
うん。嘘の中に真実を入れて惑わせる方法はどうかな。
「そうか。大変だったな、怪我はないか?」
チョロい、チョロいよプリシラさん。そんなんじゃ騙されますよ。
「で、追って来てるのってあれか?」
え?! 後ろの森から出るわ出るわ。ゴブリン、オーク、トロールまで。
「全員、戦闘準備! オリエッタは起きろ、白騎士をだせ。ルフィナはゾンビを起こせ。クリスティン、アラナ行くぞ!ソフィアは待機」
颯爽と馬車を飛び降りてバスターソードを抜くプリシラさん。かっこいいなぁ~。惚れてまうやろ。僕も見ていないで戦わないと。武器なら荷馬車の箱の中にあるからね。
「何をしてるんですか!?」
勝手に荷馬車の箱を探ってとソフィアに問われたが
「武器を借ります。僕も戦えます」
「何でそこにあるって知ってるの!?」
そりゃそうだ。武器の場所を知ってるなんて不思議だろうけど、僕は二度目なんで。ソフィアさんを無視して軽そうな片手剣を二本を両手に持ってプリシラさんの後を追った。
ゴブリン、オークには暴風が通りすぎるように切り裂き加速のチートを実感できた。トロールでさえも足を切り裂き崩れた所を串刺し。この加速のチートは使える。
プリシラさんは相変わらずゴブリンは真っ二つ。オークにでさえ傷も付かずに倒すのはさすがです。トロールには少し手間取っていたけど、ライカンスロープになっていないから余裕があったのかな。
クリスティンさんは回りがバタバタと胸を抑えて倒れ誰も近寄れず、アラナは倒した相手をもてあそぶのが止められないようだった。
相手が多かったせいか終わった時には白百合団に怪我人も出ずに終わってしまった。
記憶と違うところもあるけど白百合団との初顔合わせはこんな感じでした。
問題はここから。戦闘があった場合の戦時団則はどうしてたのか? 僕は入団出来るのか?