初等科の歓迎会
学校の最初の授業の模擬戦で華々しいデビューをかざった、
マッケンジーだが、
この学校の特徴ともいえるイベントが待っていた。
歓迎会だった。
単なる歓迎会ではないということを知らされずに
このあと起こることも知らずに
1か月経ったある日、カーター先生から、
「そういえばこの学校伝統行事歓迎会がある。」
と聞かされた。あと、
「その歓迎会、明日だから、全員参加な。単位あるからな」
と言われた。
なので
「その単位くれればさぼるのに」
と言っていた。
「おまえなんかに誰がやるかよ!」
と言われたが。
初等科で単位とかもう少し気楽にいこうぜと
思ったよ。まあ脅しにしならないけどね。
歓迎会当日、言われた時間通りに体育館に集まった。
現時点で脱落者はいないらしい。
歓迎会と言われるものは校長の話に始まり、在校生のあいさつに
生徒会長が話し、ちょっとした催しもあった。
二年生の合唱とか三年生のバンドなど普通に感じた。
だが伝統と言われる由縁があると司会者から言われた。
『全校生徒のバトルロワイヤル』
だった。
まあ簡単にいえば全校生徒相手に戦えという事だった。
一か月座学ばかりだが、多少は実技っぽい事もしたのは
この日の為らしい。
ルールは相手に参ったといわせて、相手から鉢巻を取る事だった。
鉢巻を取られた人は強制退場とあって、真剣ではある。
さすがに一か月の付け焼刃では上級生に勝てないので、
上級生は一人で戦うこと、一年生はグループを組んで戦ってよしという
事だった。
グループを組むのが面倒だったので一人でいた。
まああれだけ派手な模擬戦やった人物ですし、ある程度噂になっていて
グループを組んでくれと言われたが断った。
なぜ断ったか、それは守るリスクがあるのと、
裏切られる可能性もあるからだった。
メリットがこれっぽっちもないから一人で勝負することとした。
魔法も中級程度ならOKらしい。
何発も魔法を打てるので、多分行けるとおもう。
これって勝ったら何かあるのかと思っていると、
「そうそう勝ったら沢山食べる人には学食無料券、
あと文房具多数、珍しい魔道具プレゼントだそうです。」
「「わ~っ~」」と歓声が上がる。魔道具は安いものでも結構な値段
するので、貴族でも欲しがる人はいるらしい。
平民なら文房具、魔道具だよね。
無駄に紙が高いから、紙を相当もらう算段でいる。
「肝心な事をいうのを忘れましたが、男の人は男の人だけしか攻撃
できません。女の子も女の子だけしか攻撃できない。」
多分このルール王女さま入ったからできたのではないだろうかと
思う。まあ俺に勝てる奴がいたらの話だが。
バトルロワイヤルをしてどうするんだと思う人もいると思うが、
これには学校側の教育意図が見え隠れしていた。
まず戦場でどう戦うか、
一年生はグループなので、集団行動を求められる。
安易な催しも学力チェックという大義名分が隠れているらしい。
さすがに体育館でドンパチやらかすのは体育館が持たないので、
特別訓練場に行くことになった。
第一訓練場の隣にあるのだが、
グラウンド程の広さで、広域魔法打ち放題である。
特別訓練場の中で食らったダメージは外に出ると回復するらしい。
この訓練場だけ特別使用の結界が張られているらしい。
なので思いっきり打つつもりでいる人が多い。
剣技で勝ってもいいのだが。
バトルロワイヤルだから。
「かーん かーん かーん 」
「バトルロワイヤル開始です。」
「「わ~~」」
勢いよく飛び出した生徒もいたが、大声で威嚇している生徒も至った。
そうだなまず防御結界を自分に張った。身体強化魔法をかけた。
周りは様子見といった感じだろうか、
俺の様子を観察している人が多い。
まあこの前使った広域魔法でも使いますか。
光魔法で広域魔法なのだが今回はほどほどに範囲を広くすることに重点
を置いて詠唱した。詠唱する時間短いけどさ。
「神の加護のもとに 光の球体を広域に現わせ」
これが光魔法の広域魔法の詠唱なんですが、
別に詠唱しなくてもマッケンジーは無詠唱でできるんですが。
後方に上級生がいるのでまずそれから駆っていこうと思う。
眩しい光が目の上に出て、丸い光の束が上級生を襲った。
「「きゃあああ~」」
「助けておかあちゃん~」
「まじですか~」
色々な声が飛び交った。まあ上級生にお灸据えておかないとね。
モロに食らった生徒が多く、死まではいかないが、それに近い状態の
人達が大勢発生した。
その人たちに近づいて、
「まだ戦いますか?おりますか?」
と言ったら、降伏した上級生の数が多かった。
一クラスぐらい潰しちゃったんだろうな。
光魔法だからどちらかというと肉体ダメージよりも精神ダメージに
来る人が多かったらしい。
この後も風魔法の暴風などで体を飛ばしてダメージを与えたあと、
しっかりと、
「降伏しますか」
と声をかけていった。
「怖すぎて・・降伏します・・・」
5分で上級生のクラスが3つ位ほど消えていた。
このバトルロワイヤルの大事なところは勝てない相手には逃げると
いうこと。残っている生徒は逃げまとっている生徒か、蹂躙している生
徒に分かれた。俺は相当鉢巻を稼いでいたが。
バトルロワイヤルも広域魔法二発撃った時点でほとんどが決まってしま
った状況に
「今年もだめなのか」
「今年こそは勝てるつもりがあんな化け物が入ってくるとは」
と様々である。まあ俺にたいして言っているんだろうな。
この後も火の上位魔法の炎魔法の広域魔法を出したために、
ズタボロな生徒も至ったので、すぐに降伏勧告しにいったけどさ。
当然こんな魔法打ち放題の人間を剣術を使える人がほっておく事は
しなくて、上級生の剣と俺の杖で近接戦を強いられるようになった。
上級生の剣筋がなかなかよくもう少しで当たりそうだったが、
杖で剣をいなして、どうにかはじいていたが、こちらの攻撃が
いまいちできなかったが、剣を綺麗にかわした時に、
少しショックだったのか数秒時間があった隙を狙って、
氷魔法を打ちこんだ。
さすがに、血が少し出たので、上級生はリタイアして、
回復していた。
今の上級生が相当の手練れだったらしく、
周りの上級生からは、
「俺は逃げている奴らねらうわ。マッケンジーは危険すぎ」
「他の奴相手にした方が効率がいいな」
思い思い他の人にターゲットをとらえて戦っているようだった。
上級生の方から水の広域魔法が来たときはびっくりしたが、
速度は遅いし、範囲も俺よりも狭いためか少し動けばかわせるものと
なり不発に終わっていた。
魔法が禁じてのような雰囲気の中、
唯一魔法打ち放題の俺は相当鉢巻を稼いでいた。
持てないので、リタイアした他の生徒に持たせていたが。
問題ないらしい。降伏させて初めて鉢巻が移動するので、
かすめ取ったとかはないらしい。
それを良しにすると大変な事になるらしい。
足が速い奴が勝つしね。
最後に土魔法の広域魔法を打って終わりになった。
「か~ん か~ん か~ん バトルロワイヤル終了です。
残っている人には文房具一式もらえます。 」
「「「わ~ぁ~」」」
声の様子から結構残っている様子だった。
俺が相当片づけたので多分一位だろうな。
全校生徒の半分は鉢巻があったからな。
「バトルロワイヤル今回の大会の優勝者は
男性がジョン=マッケンジー
女性がメロディ=ローグ です。みなさん拍手を!」
「「「パチパチパチ」」」
「今回は男性の場合は広域魔法が多くみられました。
対照的に女性の場合は剣術で戦うという結果になりました。」
「商品を贈呈したいと思います。
購買で引き換えられる、文房具約一年分。
つまみ食いしたい人に学食一年分。
そして、メインの商品魔道具が渡されます。」
「魔道具ですが後日引き渡しになります。
希望する魔法をいえばもらえます。」
へぇ~魔道具といっても安そうなガスコンロみたいなものから、
旅で必需の魔道具の水筒など様々ある。
今回は無条件なので、高いものを選んだ方が得で、
おそらく、空間魔法を使ったアイテムボックスや
転移魔法を使ったものあたりが高価だと思われる。
空間魔法のアイテムボックスは今現在使えるからいらないし、
転移魔法も覚えているのでいらない。
まあ高そうなもの作ってもらって売ればいいか。
空間魔法のアイテムボックスは相当高いということを聞いた。
使い手の魔力に大きく影響されからだとか。
今回作成する人は相当高名な魔道具作りの人なので魔力も期待
していいだろう。
希望する魔法が空間魔法に決まったことだし、
先生に言っておくか。
先生いわく、
「空間魔法だと・・・できるか聞いてみる。できる人が減っているから
作れない可能性もあるので第二候補も聞くぞ。」
第二候補は転移魔法にしとこ。
空間魔法は高いから転移にしろなんていわれそうだが。
「第二候補が転移魔法か。普通は広域魔法とかなんだけどな」
と言っていた。転移魔法も使えるし広域魔法全部打てるし苦労しないで
しょ。
後日俺の元に届いたのは転移魔法の方だった。金がかかるし、
空間魔法が作れなかったらしい。
空間魔法の担い手が少ない上に、
空間魔法の魔道具は値があまりにも高くて断念したそうだ。
「悪かったなマッケンジー、作り手が空間魔法が使えないし、
作れたとしても値段がべらぼうに高いんだよ。
転移魔法の魔道具で我慢して。」
「なあんだ作れなかったのか。まあいいですけど。」
俺が教えてやろかとおもったよ。
高く売れないじゃないですか。
転売目的だから。
こうして無事に歓迎会が終わったのでした。
ある日、カーター先生がまた突然言い出した。
「そうこの前の歓迎会も伝統だが、近くの湖まで遠足に行くこと
になった。心してかかれよ。」