初等科入学式 続 校舎見学
アンヌ様から
「私こういった場は初めてですの。アンヌ=マルゴワールと言います。
よろしくお願いします。」
と丁寧なお言葉を頂いたので、
俺も少し頑張って、
「俺も王族、貴族の方々と会うのは初めてです。ジョン=マッケンジー
と言います。よろしくお願いします」
と言ってみた。
ガキだけどまともに接するのが無難だよね。
すると
「あの有名な連戦連勝のマルゴワールですか。」
「そういわれているんですか?確かに父親は剣士ですが。」
「ならばそうですわ。ある意味有名ですから。」
「はぁ、あ・る・意・味・ですか。」
それ以上は言わなかったけど。墓穴掘りそうで怖いし。
目をキョロキョロしていたので、
「王族や貴族が珍しいのですか、優等生ですか?」
と聞かれたので、
「王族や貴族は珍しいですね。今まであったことがありません。
母親に学校に行けと言われて来ただけです。」
と素直に言っておいた。
「あと他の人より魔力が高かった位ですが。」
とちょっと自分をほめたたえておくことも忘れずにいた。
そうしたら
「ぜひ魔法を教えてください。」
と言われた。
ガキだけど、可愛い子から言われるのは気持ちがいいけど、
色気もないし、心の中ではうーんと思ってしまった。
俺たちが仲良く談笑している間にもカーター先生は何か話して
いたらしい。俺たちのために気を使ってもう一度話してくれたが。
この後、簡単な自己紹介をした。
俺が知っている人がいる訳でもないので、ふーんという感じだったが
みな貴族という所を強調して言っていた。
俺が平民と知って魔力が高いことを知るとふ~んといった感じだった。
貴族にとっては魔力が高い事よりもプライドが優先されるんだろなと
思ったよ。
初めての校舎なので、校舎見学をした。
他のクラスと鉢合わせにならないように事前に時間と見学する場所
を設定してあったらしい。
こういった血の涙もでない努力があってか、
円滑に見学は進んだ。
皆が興味を示したのは訓練場だった。
この訓練場は強化結界が張られているのでよほどの衝撃でない限り、
周囲に傷がつかないらしい。
それに驚いていたようだが、
その強化結界の張り方でさえ俺はマスターしているんだぜ!
いつ使えるか謎の多い魔法だが。
訓練場にて、ある貴族が
「模擬戦を見てみたい」
と駄々をこねたが、
「今日ではなく他の日に模擬戦は見られるので大丈夫ですよ。」
と軽くあしらっていた、カーター先生がいたった。
訓練場の隣に保健室が併設されており、けが人をすぐ見れる
体制が整えられている。
学食も訓練場の近くにある。
学生なら一人分は無料らしい。
昼に何人分も喰う生徒がいるのでそういうようになっているとか。
学食の広さに驚いたが、
部屋のデザインの良さにも驚いた。
スタイリッシュで洗練された部屋だったからだ。
前世の大学とかではこういったものが見られたが、
中世ヨーロッパを基調としている建物が多い世界で、
ないと思っていたからだった。
なんでも、転生してきたと言っていた建築家が設計したものらしい。
学食には昼にいくので後でゆっくり見るように言われた。
学食の近くに体育館はあったが、さっきいったので遠くからみるだけと
なった。結構金かけているなあというのが所随所に分かった。
少し遠いが下駄箱まで案内してもらった。
ここは来ていないが、貴族クラスというかSクラスの下駄箱だけ、
豪華に作られていた。
昔Sクラスに至った生徒の親が寂しすぎるといって、
お金を寄付して豪華に作らせたのとか。
なぜ他のクラスが貧しい木でできた下駄箱かというと、
寄付金がそんなに多かったわけでもなかったからだとか。
この学校の不思議とされているそうだ。
職員室の場所と校長室の場所の確認をした。
来る途中で放送室があったが、初等科の校舎の放送は先生が担当するの
で余程の事がない限り来ないそうだ。
職員室は前世の学校の形にそっくりだった。
校長室は違ったが。
貴族がお金かけて作りましたと言わんばかりの扉で、
重厚そうであった、というのが校長室の扉の印象。
校長室の中も見せてもらえて、歴代の校長の似顔絵が描いてあるのを
並べてあった。
ソファーとかも本革使用で高そうというイメージがこびりついてしまっ
た。
授業の大体が座学ばかりの初等科だが、
その座学の大半を自分の教室で受けることになるらしい。
初等科なので、魔道具の錬成する場所や音楽室などは設けられていな
い。
これから初等科で頑張ることになった。
多分飛び級できそうだが。