15、ラブコメ、ダメ、ゼッタイ。
第三王女が妹であり王位継承の順位が低い第四王女に虐げられている。
これをフラグと言わず何と言おうか。
一昨日の夕食では「お姉様」を立てていた。つまり、公衆の面前では蔑まされていないということ。それはまた、公にされていない何かがあるということでもある。と思う。
「あら、勇者さ……、何をされているので? 無能はさっさと部屋に戻ってください。勇者方は朝食時にお話がありますので、皆様と共に食事ができることに精一杯感謝して早急に部屋へ戻る事をお勧めします」
考えていると、近くにメイドが1人立っていた。酷い扱いである。
「あ~、そうね。そうしよう」
僕の硝子のはぁとはボロボロでした。
王女さん方のお話の続きを聞けないのは惜しいが、俺にこの場を乗り切る勇気はない。諦めなさい。
という訳で、部屋に戻りました。
「大陸はどうしてそう独りでどっかいっちゃうかな」
「暇だから?」
「起こしてくれればよかったのに」
「面倒だったから?」
「なんで疑問形なのさ」
「暇だったし、起こすの面倒だった」
「そう言い切らないでくれよ。悲しくなるじゃないか」
「どうしろと!?」
ちなみに、勇者様方(笑)へのお話を聞くことは出来ませんでした。
メイドさんに行けって言われたから行ったのに、騎士さんになんで来たって言われたよ。なんか今日、すごい振り回されてるね。
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朝食を食べ終わっても、未だ広間から拓人達は出てこない。
よく聞く消音結界みたいなのが張られてるのか、扉に耳を当てていても何も聞こえなかった。あ、騎士さんの怒号は聞こえましたよ。
悲しくなり、俺は城の散策を再開することにした。
今日は何か用事があるのかもしれないが、今日になってからというものアスタルテにも会ってないし。
とにかくすることがないのだ。
しばらくして、倉庫みたいな場所に行き着く。
きゃっきゃうふふと声が聞こえるから、勇者への話は終わったのだろう。後で拓人に聞くことにする。
何の倉庫かと裏側の窓から覗いてみると、見慣れた異世界人の顔が目に入った。
「ほら、ここの掃除よろしく」
「わたくし、服を汚したくありませんので」
「…………はい」
アスタルテがよく見るいじめを受けていた。
ああ、ここもテンプレだろうか。あまり読む機会のないシーンな気がする。こういうとき、どうすればいいのだろうか。
とりあえず、偉そうなメイドさん達がどっかに行ってから掃除を手伝おうか、なんて事を考えていた。
「アスタルテ、こんな所にいたのか」
「……!」
拓人の声が聞こえるまでは。
アスタルテは驚愕の表情を見せ、同じように令嬢メイドさん達も驚愕、そして戸惑っている。もちろん俺もだ。
「無能が何の用でしょうか? 彼女はこれから仕事がありそうですが」
どうやら強気に出ることにしたらしい。
対して拓人も十分に強気だ。
「そこのアスタルテに話すことがあっただけですよ。仕事が終わらないようなら手伝うけど」
「あ、ありがとう」
リア充は目に毒、というか拓人に毒を盛りたくなったので、その場を去った。
たぶん聞こえる走る音は令嬢メイドのものだろう。
そんなラブコメチックなテンプレはいらないんだけどな。
普通クラスで転移したらハイファンタジーだよね? 恋愛じゃないよね?
何にしろ、無事拓人のテンプレは達成できるのだろうと安堵する。
そういえばそろそろ放置プレイの結果が出ている頃だろうか。それも後で聞こう。
そうして適当にぶらつき、木陰になっている小道で休んでいたとき。
「あれ、無能勇者の茅瀬くんじゃないか」
目に入ってきたのは、不適に笑う幸路と、取り巻き二人の姿だった。
お久しぶりです。
先月は投稿できず、申し訳ありませんでした。
なんか、投稿しないでいたらPVどのくらいになるんだろうとか思ってたわけじゃないんです。本当だよ?
1月のPVが1000を越えていたのは確かに嬉しかったけれども。
というわけで次は恐らく今月末か3月の中旬のどちらかだと思われます。よろしくお願い致します。
というか、プロットだと5話の時点で城出てるんですよね。
いつになったらキーワードの「いつかは」を外せるのか……
そもそもプロットに光輝くんと拓人くんがいないという……
かなり流されながらいきあたりばったりでやってますが、今後も面倒を見てやってください。よろしくお願いします。