14、フラグが立ったぁ!
ハイ、ここで皆さんにお知らせがあります。
昨晩、私は図書館で衝撃的な事実を知ってしまったのです。
先代勇者が、現代日本の知識をビックリするほど置いてってました。
この前話にでたモルト・ゴードンさん。あいつも大概だがその一つあと、オオタキとかいう輩が俺の知ってる範囲の知識を全部使ってやがった。
いやぁもう、絶望的ですよ。
最悪知識チートか行政チートでどうにかしようと思ってたのに。もう逃げ場ないよ。
「あぁ……、なんというか、もう……」
詰みそう。
「ん? 大陸くん、どうしたの?」
「ひゃい!?」
気づけば、近くに引き気味の光輝がいた。
あ、そういえばここ廊下でした。
ついでに言えば俺は床に這いつくばってます。
まあ、みんなが土足で歩く廊下に寝そべってる奴がいたら、さすがの光輝も引きますよね。
「ああ、悪い。邪魔だったか」
「いや、別にそんなことはないけれど」
俺が立って壁際に寄ると、光輝は笑った。
「いつもの奇行もここじゃよしなよ」
「いつものとは失礼な」
「でも、大変だったら言ってね。僕で良ければ力になるよ」
「ああ、ありがとう」
去っていく光輝。
いい奴もいるもんだなぁ。さすが俺。人望が厚い。いや、自虐じゃないぞ。
「ま、考えても無駄か」
気をとりなおして部屋に戻る。
俺は昨日のとおり部屋で夕飯をとり、ホールで食べている拓人を待たずに寝た。
2日ぶりの、異世界初睡眠は、予想外にもぐっすりと眠れた。
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早朝、まだ日が出てるかどうか、という時間帯に目が覚めた。
そういえば、日が変わらないうちに眠りに落ちたのは数年ぶりかもしれない。短すぎる睡眠時間にこの体も慣れてしまっていたようだ。
「あ~、早すぎたな。どうしよ」
呟いてすぐ、適当にぶらつこうと部屋を出る。
廊下の端に見張りの騎士が居たが、「あ? 勝手にしろよ無能」と許可を貰って城門の方へ向かう。
いや~、早朝から仕事なんて騎士さんは大変だな。寝不足なんだから扱いがざつになっても仕方ないよね。そう、寝不足なせいだよ。きっと。
城門は商人らしき人達が大荷物を持って城の倉庫を出入りしているようだった。
いや、正しくは商人であろう人は2,3人しかいない。他は多分従業員の厳ついおっさんたちだ。
この世界にはアスタルテのように奴隷が存在するが、それらしき人は従業員の中に見当たらない。
なぜだろうか。普通こういうのって奴隷が無理なくらいの仕事をしているイメージがある。
まあいいか、と考えるのを放棄した俺は、2階廊下を歩くフィレリスさんを見た。
朝から忙しいのか、先を急ぐように速歩きだ。
城は忙しなく、のんびりしてるのは俺だけのように思えてくる。
「そろそろ勇者も起きるか」
俺は部屋に戻ろうと歩き始める。
そんな中、またフィレリスさんを見かける。今度は部屋に入っていくところだった。
そういえば、王女さんってどんなお仕事してるんだろ。
そう思って少し立ち止まると、フィレリスさんが入った部屋から甲高い奇声が聞こえてきた。おそらく第四王女のものだ。
「あんたなんかに用はないんだから、勝手に行動しないでよ!」
ああ、恋愛フラグか。
ギリギリ間に合ったぞ。
12/31~1/2まではネット環境にいないので、急ぎで書きました。
そのせいで短くなってますが、そのうち改稿するかもしれません。
でも光輝くんはなぜか長く書いていられないんだよなぁ……
それでは、よいお年を!