12、毒のチカラ
少し短くなってしまいました。すいません。
話がしっかりと変わるので、ここで切っておこうと思いまして。
べ、別に思い付かないから止めたわけじゃないのよ!?(遠い目)
「ぶっ飛べ!」
刀で叩かれ、湖に落とされる巨大アンコウ。
一時も休む暇なく、アスタルテは魔法を唱えた。
「ウィンドカバー!」
バンッ!!
体力を削られて怒っているのか、最初に出てきたときよりも勢いが強く、音が響く。
「やばい、破られる……」
アスタルテの疲れきった声を聞きながら、巨大アンコウの勢いが弱くなっているのを感じた。彼女のそれとなく感じているようで、俺に話を振ってくる。
「これ、耐えたら確実に勝てるのよね……?」
「ま、そうだな。効いてるみたいだし」
「分かったわ。アクアプリズン!」
アスタルテが叫ぶと同時に巨大アンコウの動きが止まる。魔法の名前からして水の中に閉じ込めているのだろう。
にしてもこの子、雷も風も水も使えるって多彩ねぇ。
もののついでで本に書いてあったことを紹介しよう。
この世界での魔法は、基本属性の赤(火)、青(水)、緑(風)、白(回復)、黒(バフ·デバフ)があって、赤と青を極めると雷、赤と緑で土、青と緑で氷の属性魔法が使える。その他に結界師の空間魔法や、召喚士の召喚魔法などの特別属性の魔法がある。特別属性は数多の種類があり、全て把握できていないようだ。
魔力と特別属性は才能に左右されるが、基本属性に才能の有無はないと考えられている。
別に今の状況には関係ないから、だから何だって話だけど。
「くっ……!」
アスタルテのこの声を聞き始め、1分経ったか否かという辺りで、ふとアスタルテの力が抜けた。
「ふぅ~……終わったみたいよ」
それを聞いて、俺と拓人は顔を見合わせる。
俺が小さく笑えば、拓人がガッツポーズをした。お前何もしてないだろうに。
「アスタルテの勝ちだね。サンキュー」
「この毒がなければ多分キツかったと思うわ。こんな強力な毒どこで手に入れたのよ」
「トップシークレットです」
冗談じみた言葉で返すと、そのあとはもう聞いてこなかった。
「そういえば、その武器は?」
思い出したように刀のことを聞く。
アスタルテはここまで俺らを助ける時は、ずっと素手で魔物を倒していたので分からなかった。しかし、巨大アンコウと敵対する時に、この前ないと話していた刀を使っていたのだ。
「ああこれ? これは昔の異世界人が作らせたニホントウっていう武器よ。刃こぼれするのが早いからあんまり人気も知名度もないけど、切れ味がいいから使っているの」
そう来たか!?
刀と日本刀の差とか面倒なことこの上ないな! そのくらい知識教えておいてくれませんかねぇ、先代勇者!
そういえば言っていなかったが、異世界から勇者を召喚する魔法は以前から何度か使われている。
その中で、モルト・ゴードンとかいう人が、現代技術をこの異世界に多数持ち込んだらしい。完全外人の名前だが、文書を見ていると相当な日本好きのようなので、刀改め日本刀を作らせたのもこの人だろう。
「まあ、そろそろ戻ろうか。疲れたから私が全部やるわ。後ろにいてちょうだい」
「お、おう……了解」
遠回しにお前ら見てた方が疲れるって言われたね、今。
まあいいですよ事実ですしぃ……
5分で城についたのは流石にびっくりした。