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お嬢様の感動

作者:

私はお嬢様育ちだった。

ハンバーグを挟んだサンドウィッチであるハンバーガーに憧れを持っていたけど、

パパやママから身体に悪いから食べるな、と言われていた。

疑問に思っていても食べられなかった。

私からしたらどんな食べ物なのだろうという好奇心であると共に、

魔法の食べ物だとずっと20年間思っていた。

20年の歳月を経て、親から解放された私にとって

ハンバーガーは自由を手に入れた証だった。

ここはハンバーガー店。そして、その食べ物が今、目の前にある。

何とも言えない、高揚感と早く食べたい気持ちが舌先に唾液を集める。

「沙代ってハンバーガー食べたことないんでしょ? 珍しいよね」

「珍しいなんてもんじゃないって。あの人たちは鬼だよ。私は人質」

そんなくだらない話を挟みつつも私は、購入したハンバーガーの

包を開ける。

初めてハンバーガーを見た光景に、思わず喜んでしまう。

「わぁ、いい匂い! やばいよ! 日菜!」

「いや、さすがにそれはヒくわ!」

そんな事を言いながらも会話は盛り上がる。

一口ハンバーガーを口に入れる。

念願の一口。

口内に広がるハンバーガーの世界に感動して、涙が出てしまいそうになる。

本当に人は感動してる時、声がでないんだって思った。

私の中で、ハンバーガーの味は宇宙のようだった。

今まで食べたことのない、不思議で、甘いとも辛いとも言い表せないものだった。

「美味しい・・・・・・」

私が一人感動してる反対側の席では、日菜が手を叩いて爆笑していた。

「ふふははははは。もう笑い堪えられないわ」

「もう! 人が感動してる時なのに、ムードのぶち壊しだよ」

「だって、ふふっ。ハンバーガーで、お嬢様が感動してるって何よ」

「笑い過ぎだよ・・・」


「ごめんて、ごめんなさいって。謝りますよ」


両手を合わせて頭を下げる日菜。


私は怒ったフリをして、ゆっくり噛み締めながら、

ひと噛み、ひと噛みしていく。

ゆっくりゆっくり噛み締め、肉の味とサンドの

コラボレーションに陶酔していた。

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