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誰でもいいので助けてください!

この話から約二話ほど少し下品な表現・ほんのりとしたBL表現があります。

苦手な方・純粋な小中学生の方は回れ右をすることをお勧めします。

 こんばんわっほ~

 榊栄一郎こと赤鬼だよ~

 ってなんかこの挨拶にも飽きてきたな。

 次は違う出だしにしてみるか……?


 ま、とにかく、だ。

 今。俺は鍋の準備をしながら弟の帰りを待ってる。

 弟……帰ってこねえんだけど……あれだよな?

 イノシシを仕留めるのに時間がかかってるだけだよな? 人間滅ぼしにとか……行ってないよな?

 だい……じょぶ、だよな?

 ………………。

 もう少ししたらふもとの様子……見に行ってみるか?


 ねぇ。マジで帰ってこないんだけど。

 え、どうしよ。やっぱりふもとまで行ったほうがいい?!

そわそわしながら部屋を歩き回ってたら玄関のあたりでガタリと大きな音が聞こえた。

 帰ってきた?!

俺は急いで玄関に向かう。血まみれ(←ここ重要!)の弟が帰ってきていないことを祈りながら。


 ……結論。

 とりあえず返り血まみれではなかった。うん。よかった。それだけ・・はよかったと思った。

 …………けど、だ。

 弟よ。その手に持ってるのって……


兄者あにじゃ! 遅くなってしまい申し訳ありませぬ。なかなか猪が見つからず……。ですが! 大物をしとめましたよ!」


 そう言って弟が掲げているのは普通の猪より一回りどころじゃないくらいに大きい猪。

 アレ……? あの猪って確か人間たちから山神様とか呼ばれてたやつじゃなかった?

 なんかこの山で一番の長老様で山の主だとか……。

 俺この山に住み着くときにあいさつしに行った覚えがあんだけど……。

 …………ヤバくね? と、とりあえず棲み処に戻してもら……あ、だめだ。この猪息の根止められてるわ。

 …………………。

 ここは……アレだな。証拠隠滅。うん。それしかねーよ。


「よ、よし!それじゃあ鍋の用意はできてるからその猪さばいてきてくれるか?」

「承知しました!」


 うん。俺は何も見なかった気づかなかった。弟が狩ってきたのはちょっとおっきい猪。それだけだ。

 さ、鍋と酒の用意でもすっかな~。


 ってなわけで。おいしい猪鍋と日本酒を堪能していた俺ら兄弟。

 俺たち鬼っていう種族は酒に強い種族らしくってな~。いくら飲んでも酔わねえの。

 酔わねえのに酒を飲んで何が楽しいかって?

 ほかに飲むもんが無いんだよ! ジュースとか存在してないんだよ! 水か酒しか選択肢がないから酒飲んでんの! ちょっとは味付いてるしさ……。

 つうかこの鍋マジ美味いな……。さっすがやまが……大きかっただけあるな~。おかわりしよっと。


兄者あにじゃ…………」

「ん~? なんだ? お前もおかわりしたいのか?」

「っ……あにじゃっ!」

「ぅおっ?!」


 弟がのしかかってきた。あっぶねー。もう少しで鍋の中身こぼすところだったぜ。


「いきなりのしかかったら危ないだろ? 鍋はまだまだ残ってるんだから焦るなって」

「兄者…………我はもう我慢ができません!」

「え、そんなに食いたかったの? じゃあ先におかわりしてもいいぞ?」

「はい……ずっとずっとたべたかったのです……我は、我はっ!」

「なんだ、そうだったのか。遠慮しなくてもいいんだぞ? 好きに食べな」


 まっさかこの鍋がそんなに気に入ってたとはな~。よし! 兄ちゃんがかわいい弟の分もよそってやろうじゃないか!弟のわんはっと……遠いな。おかわりしたいんなら鍋の近くまで持ってくりゃいいのに。

 俺は立ち上がって弟の椀を取りに行った。いや、違った。とりに行こうとした。

 行こうとしたんだが…………。

 なぜか今俺は弟に押し倒されている。

 は? どゆこと? なんで? Why?

 と、とりあえず弟よ……事故って押し倒しちゃったんだろうから早くどこうか。

 男にかぶさってても何も面白くないだろ? しかも身内。

 …………弟君? なんで動かないのかなー? アレか? あまりの出来事にフリーズしちゃったとか?


「あ、あにじゃ……」


 あ、よかった。動き出した。なんかうるんだ瞳でこっち見てきてる。そりゃそうだ。あまりの失態に泣きそうになってんだろう。


「大丈夫だ。俺は怒ってないぞ。だから早く……っ!!」


 『どいてくれ』そう続けるはずだった俺の言葉は弟の唇に吸い込まれていった。

 え? 何言ってるかわかんない? まぁ、あれだ。簡単に言うと、だ。

 俺は弟にキスされた。うん。…………うん。キス、されてる。…………キスされてる?!

 え、なんで? どして? 何がどうなってこうなった?

 弟は頬を紅潮させ、酒臭い息を吐いて俺を見ている。

 …………あ、そうか。酔ってんだな! 今日は結構飲んじゃったもんな! いくら鬼が酔わないっつっても限度があるしな!

 だとすりゃ酔っ払いに手加減は無用! 力ずくでどかして……どかし…………むりだ。

 何コイツ。力強すぎじゃね? 俺だってこの体に転生してからはだいぶ力も強くなったってのに……なんでどかせないの?

 つうか意外に体ひきしまってんなー。俺は贅肉でぷよぷよなのに……。あれか? 日々の生活態度の問題なのか?

 そりゃたしかにずぅっと家でゴロゴロしてたけどさ。そこまで差が出るもんかね? 弟だっておんなじようなせいかつ…………あ。そういや、いつも食糧調達(狩り)に行ってんのってアイツだったわ。

 さっきだって山神さましとめてきてたしなぁ。ひきこもってた俺が勝てるわけねーじゃん。

 ……………ってことは……俺…………このまま喰われちまうのか?! 実の弟に? 男に?!

 嫌だ!! 嫌すぎんだろ! 何が悲しくて俺の初めてを男に、しかも実の弟にうばわれにゃならんのさ! コラ弟! 兄が混乱してる隙に服脱がそうとすんじゃねぇっ!


「お、おい。落ち着けって。お前は今酔ってんだよ。冷静になれ、な? 実の兄貴襲ったってなんもいいことねえぞ?」

「何を言っているのです、兄者? 我ら鬼は酒には酔わぬ種族。我は我の意思で兄者と一つになりたいと思っているのです。ずっと、ずっと兄者を慕っておりました。やっと………この日が来たのですね……」


 ダメだ。話が通じねー。

 てかずっと慕ってたって何。え、俺そういう目で見られてたわけ? え、つまりこの状況って……本気?

 …無理無理無理絶対無理! いくらかわいい弟でも無理なモンは無理! 俺はかわいい女の子じゃないと嫌だ!


お願いだ! 誰か助けてくれ! 誰でもいいっ! だからこの状況から俺を救ってくれぇぇぇっ



 俺は必死で神様に祈った。たぶん前世含めてもあんなに願ったことはないと思う。それだけ必死だった。

 半裸の状態で必死に抵抗しながら、必死に祈った。


「鬼ども、観念しろ! 」


 俺がヤられかけそうになったまさにその時。扉を勢いよく開いて人が一人勢いよく入ってきた。

 腰に剣をき、拳には包帯を巻いた二十代くらいの男。今の俺にはソイツの後ろに後光が差して見えた。

 神様、ありがとう! 救世主様、助けてください!!


「都の平和を脅かす鬼どもめ! この緋色の殺戮者クリムゾンスレイヤーが一瞬で塵にしてくれる!」


 ………………え゛?







誰でもいいので助けてください!

いや、誰でもいいとは言ったよ?

言ったけどさ。

厨二患者にこの状況をどうにかできんのか?!

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