最近、悩みができました。
はいは~い、どーもこんちわ。
榊栄一郎こと赤鬼でっす☆
あのさぁ。前回で俺、百年ぐらい山に引きこもるって言ったじゃん?
あれから五十年くらいたったんだけど……飽きました☆
いやもうヒマなんだよ。めっちゃヒマ。
つうかゲームしたい! アニメ見たい! マンガ読みたい!
俺のこのあふれんばかりの三大欲求をどうにかしたい。マジで。いやもうホントに。
……文明的に無理なんだろーけどさ。
だってさ、人間が鍬持って畑耕してる時代だよ?全員着物とか着ちゃってんだよ?
ムリムリ。ゲームとかあるわけないし。
きっとまだ鎖国とか言ってる時代だよ……
地道に長生きするしかねー。俺の寿命、ゲームが発明されるまでもつかなぁ……?
んん? 飯はどうしてたかって?
ホラ。ここって山じゃん? 前世とかと違ってコンビにとか無いわけよ。
まぁふもとに降りても無いんだけど。
だからさ、自給自足。
山の幸は豊富だよ~。それにさ、獣とかも
「兄者! 本日は鹿が獲れました! 豪勢に鹿鍋と参りませぬか?」
「おー鹿鍋かぁ。上手そうだな。それじゃ椎茸なんかもほしいところだな。」
「今とってきます!」
「あ、とってきてくれんの?いってらっしゃーい」
ってな感じで何にも言わなくても弟がとってきてくれんだよ。ぶっちゃけ俺、マジでゴロゴロしてるだけだし。
あ、話ずれてた。
まーそんなこんなで時代の壁ってヤツに阻まれてオタクの必需用品が手に入らないワケ。
ちょっともうほんと……うらむぜカミサマ。
転生させるんならもう少し先の時代にしてくれりゃーよかったのによ。
無いわ……マジで無いわ……。
……やっべ。ちょっとだけ本音漏れた。
ま、とりあえず今。
さすがに弟と二人だけで暮らすのは飽きた。
そろそろふもとの人間に会いに行ってみよっかなぁ。
ゲームは無いだろうけどなんか娯楽用品ぐらいあんだろ、きっと。
「……兄者? 何を考えておられるのですか?」
うお。弟よ。気配絶って近づかないでくれよ。ビビッたじゃん。
だが、ここでびくついたそぶりを見せないのがデキる兄ってヤツだ。
「ん? どーしたら人間と仲良くなれるかなーって。」
仲良くなったら娯楽用品分けてもらえるかもしんないし。
「…………我だけでは不満なのですか?」
捨てられた子犬みてーな目だ。うん。かわいい。超かわいい。
「別に不満ってわけじゃないけど、人間とも仲良くなれたら楽しーだろうなって思ってさ。」
まだ文明は発達してないって言っても賭博とかはもうあるんじゃね?
こないだ散歩してたら鎧つけて歩いてる人間見かけたし。
「そんな! 兄者、人間なんかどうでもいいではないですか。我と暮らせば……」
角は布を巻いてごまかすとして、問題はこの赤い髪だよなぁ。
やっぱり黒い髪の人間ばっかだからさすがに気味悪がられるだろうし。
「どうやったら自然に仲良くなれっかな?」
「兄者!」
お、おう? なんか弟が悲鳴みたいな声を上げたんだけど。……なぜに?
「人間め。
兄者の思考をうめるとはなんて憎たらしいんだ兄者は我のことだけ考えてくれればいいのにせっかく幼い頃から兄者に群がる羽虫どもを掃除してきたのに山も移動して兄者と我だけになったというのにあにじゃはわれだけをみてくれないああそうだ人間なんて滅ぼしてしまえばいいんだそうすれば兄者は我だけを見てくれる我だけのものになってくれる」
………………わぁお。なんか物騒なことブツブツ言ってるよ。
というか弟よ。よく息継ぎなしでそこまで長く話せるな。苦しくないか?
つうか羽虫ってなんだろ。俺そんなに虫に好かれてたっけ?
「お、おーい……なに言ってんだ? 兄ちゃんに聞こえるようにもっとはっきり言ってほしいなー…なんて……。」
「兄者は我のものだ人間なんかには渡さないそうだすべてが終わったら兄者に外に出ないようにお願いをしようそうすれば兄者は我だけしか見ない」
………返答ナシ。
というか物騒なことつぶやいてた弟がうつろに笑いながらどっか行った。
どうしよう。なんかいやな予感がすんだけど。というかむしろ嫌な予感しかしない。
え。どうしよう。俺のせいで人間滅びるとかないよね? きっとあれだよね? 弟なりのジョークってやつ。うん。きっとそうだ。
………………。
「あー……なんか今日はイノシシの肉が食べたいなぁ! 寒いから鍋とかしたいなぁ! 酒とか飲んでいい感じにあったまりたいなぁ! 人間とかどうでもいいから誰かと一緒に鍋が食いたいなぁ!」
叫びました。大声で。内容はテキトーだけど……これで弟が戻ってきてくれるといいなぁ……。
いや、でもさすがにこんなんじゃ戻ってこないかなぁ……?
「あ、兄者!」
…戻ってきた。すっげー。速攻で戻ってきたよ。
幻かなぁ? 尻尾振ってるワンコが見える……。かわいー。
「兄者! イノシシですね? 我が狩ってきます! 今宵はシシ鍋をいたしましょう! 一緒に鍋を……」
「おー。それじゃあイノシシは任せた。俺は酒の用意して待ってっから。早く帰ってこいよ?」
「はい! 兄者を長く待たせるわけにはいきませぬ! すぐに大きなイノシシを下げて戻ってまいります!」
「期待してるな~いってらっしゃ~い。」
弟は嬉しそうに狩りに出かけて行った。
……これで人間たちの死亡フラグ折れたかな?
にしても……弟のあんなとこ初めて見たんだけど……。
え、あれって前からなのかな? 俺が気づかなかっただけ?
だから俺にくっついて山まできたとか? ……いや、それはないな。無い無い。
きっと五十年も俺の顔ばっか見てたからかもな。
帰ってきたらさりげな~く別々に暮らすように促してみるか。
最近、悩みができました。
弟がヤンデレに走りつつあります。
どーすりゃいい?!