この絵文字いいよね
ちょっと体調崩してました〜
皆さんもお気をつけて
「見えてる… 見えてる…」
見えてるんだよ、屋根っぽい?何かが
「見えてるのに着かないって、どーゆーこと!!!」
俺のHPは、きっともう6くらいしかないよ…
しかも
《恐ろしいものを見た:SAN値低下中》
のデバフ付きだよ!発狂寸前だよ!
「まあ、見えてるんスから、着くっスよ」
「ポジティブすぎか!」
ミルキーはポジティブすぎて話しにならない… く…
お、俺の深層の闇が、闇が、
表層に出てきてしまうっぅ…
この世界は終焉を迎えるぞ…!
く… 抑えろ俺!
ああっ封印されし右腕が疼くっ…!
なんかものすごい視線を感じるから
ミルキーにもこの脅威が伝わったようだな
「く… しかたない、共に破滅の終焉を阻止しよう!ミルキーよ!」
「嫌っス」
「つれないっっっ!!!」
これだからポジティブマンは…
そう、俺たちは山登りをしている。
唐突だが俺は、
富士山に登ったことがある。
Q:富士山ってなんですか?
A:日本一高い山です。
/^o^\
日頃の運動不足が祟り、
普段からスポーツしまくりな友人の登る速さに追いつけず、
めちゃくちゃ足手まといになってしまった、
という黒歴史が…
あの時の絶望を思い出した、
あの、八合目の宿泊施設が見えてるのに
いつまで経っても辿り着かない、、、
あの 絶望を!
「ふふ…あれはきっと、蜃気楼なんだ…」
目を細めて呟く俺
僅かな空の隙間から入る光に反射する樹木、
日の時間だろうに、薄暗さを留める、
この鬱蒼とした陰の気配のする地に
似つかわしくない、乱反射する屋根のような形状の建物が見える。
それは、
仰ぎ見る我々を眼下に、
崖の上にぴょっこりと顔を出している。
「蜃気楼って、クランタイールの魔女がたまに魔術に失敗して出ちゃうっていうあれッスか」
「…絶対違うと思う」
クランタイールの魔女って誰ですか!?
魔術の失敗で蜃気楼出るの?
それとも俺の思ってる蜃気楼と、
異世界の蜃気楼は違うものなのか?
異世界わけがわからない…
何度思ったかわからない言葉を反芻しつつ
翻訳機能はどうなっているのか悩む、
どうやら
俺はこちらの言葉で話しているらしい。
召喚されたら、主言語が召喚主である人物のものに自動的に切り替わる、
みたいな説明を王様にされた。
なので、今俺が話してる会話は、
この大陸で主に使われてる
ララグラール語になるらしい。
まあ、他にもなんか色々言ってた気がするが
正直よくわからんかったから左右に通り過ぎた。
とりあえず注意点は、
俺の世界にあって、こちらの世界にないものは、似たようなもので代用されるってこと。
なので、たまに違うものがあるだろう、
ってことだ。
後、再現不可能なものについては
Pーになると…
アイスクリーム…
思い出しちゃったよ、
愛しのアイスクリームさんのこの世界での酷い扱いを…
「アイスクリーム、アイスクリーム、アイスクリーム、アイスクリーム」
「ど、どうしたんスか」
「アイスクリームアイスクリームアイスクリームアイスクリームアイスクリーム」
ミルキーは驚愕すると同時に
不気味なものを見るような目で俺を見た、
たぶん、ミルキーからは「Pー」を連発する
気持ち悪い生物と対峙している状態なのだろう。
「とうとう壊れちゃったんスか、もう手遅れスかね?」
まじでコイツは失礼なやつだ!
俺はこの怒れる理不尽さに憤慨した。
俺の大好きなアイスクリームが伝わらないどころか、再現不可能らしいこの世界。
唯一、召喚という形でのみ実現可能な
幻のごとき至高の食べ物…
なにその神設定、え、
アイスクリームは神だった?
それはそれでトキメクものがあるな…
いやいやいや、
俺は騙されないぞ!
「俺はいつの日かこの世界にアイスクリームを実現させてみせる!」
グッと握り拳をつくる。
アイスクリームを広める、
それはアイス屋の使命でもある。
今パッと思いついただけだけど、
そうだ、間違いない。
俺の決意は、瞳に強い意志を宿し、
瞬く流星のようにキラキラと輝いた。
遠巻きにじっと見ていたミルキーは諭すように優しい、しかし厳しいキリっとした瞳で返した。
「犯罪はダメっスよ?」
俺の崇高なこころざしは、
この世界の原住民には残念ながら伝わらなかったようだ。




