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ひろくん




 我が家に、「お父さん」はいない。

 いるのは、お母さんと犬のショコラと、「ひろくん」だ。

 ひろくんは、昭和40年生まれの獅子座、AB型。

 18年前、行きつけの喫茶店員だったお母さんに一目惚れしたひろくんは、何とかお母さんの気を引こうと、とにかくアピールしまくった。そしてその努力が実ったのか、結局2人はゴールインし、1年後には私が産まれた。



「お届け物です」

 宅配便のお兄さんから小包を受け取る。宛名は松永 博史(ひろし)様となっている。

ぱっと見た時はぴんとこなかった。この荷物はどうやらひろくん宛らしい。



 博史なんて名前は堅苦しいから、ひろくんには似合わない。ずっと前にそう言ったら、ひろくんは、確かにそうだな、と少しメタボなお腹をかかえて大笑いしていた。



 そういえば友達の家には、「お父さん」、「おとん」、「親父」――中には「あの人」という人もいた――はいるけれど、「ひろくん」がいるのは、どうやらうちの家だけらしい。

もしかしたら国中探しても、「ひろくん」はうち以外にはいないかもしれない。

それはちょっと寂しい話だ。



 ただ一つ言えるのは、私はひろくんが大好きだ。そりゃあ、祐司(ゆうじ)とどっちが好きかって言われたら、もちろん祐司を選ぶけれど……それはさておき。

ちょっと不器用で口下手で、スーツはたまに汗ばんでいるけれど、ゴルフと仕事は人一倍熱心。そんなひろくんが、私もお母さんもショコラも大好きだ。もちろん、「お父さん」より何倍も。



 だけど、たぶん私がそのことを口に出していうことはないと思う。

だって私は、口下手なひろくんの娘だから。








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