表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/54

第7話



 作り物の命だって、周りの人たちは言ってた。


 「神を冒涜してる」って。



 “蜂の巣”と呼ばれた巨大な地下空間も。


 無機質な研究室の匂いも。



 何が普通で、何が普通じゃないのか。


 その境界線は曖昧で、答えはいつも出てこなかった。


 普通なんてどこにもないんだ。


 そう思うことが、たびたびあった。


 考えようとしたわけじゃなかった。


 ただ、どうしても…



 普通の生活に憧れてた。


 「日常」って何かを、探し求めてた。


 研究所の人たちは、外の世界についてを教えてくれた。


 私の母親がいた日本のこと、世界のこと。


 それは絵本の中の「世界」だった。


 どれだけ具体的な映像を見せられても、その映像の先に見える景色はどこか、——遠くて。



 自由を追い求めて、私たちは海の外に出た。


 船に乗って、太平洋の真ん中を進んだ。


 行き先はわからなかった。


 少なくとも、その時はまだ。


 どうして逃げなきゃいけないのかわからなかった。


 どうして、「バケモノ」と言われるのかわからなかった。


 みんなそうだ。


 望んでもないのにこの世界に生まれて、気がつけば、地図のない場所にいた。


 “帰る場所はない”って、誰かが言ってた。


 私たちはみんな、”望まれて生まれてきたわけじゃないから“って。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ