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第6話


 海の音。


 空の色。



 水平線に続いていく景色を、陽射しの降る穏やかな時間の向こうに捉えてた。


 海辺にたどり着く波が、いつだって、心地いい静けさの中に響いてた。


 何も知らなかった。


 本当に、何も。


 自分がどこで生まれて、どこから、——やってきたのか。



 バカみたいだって思うよね?


 エイザとよく話したんだ。


 自分の母親のこと、家族のこと。


 私もエイザも、人口子宮の中で生まれたせいで、自分の母親と対面したことさえなかった。



 改変された遺伝子。


 操作された染色体。



 生まれる前から、私たちは“選択”された。


 どんな目の色で、どんな髪質で、どんな特徴なのか。


 「デザイナーベビー」って言うんだけど、まるで“できすぎた話”だった。


 人間の体を使わず、プラスチックでできた容器の中で、私たちは「設計」された。


 コンピュータで集積された大量のデータと、ありとあらゆる人間の、遺伝子情報。


 鉛筆で線を引くように。


 また、好きな音符を、楽譜に乗せるように。



 イメージと、現実。



 その中間地点に、私たちはいた。


 失敗はもちろんあったよ。


 噂によれば、だけどね?


 莫大な費用がかかったって聞いた。


 それから、時間も。

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