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第5話


 咲も、パスタ研究会も、私が学校に通うことも。


 普通に暮らしてたら、きっと全部叶わない。


 はじめからわかってた。


 「高校」になんて、通えないことは。


 私たちには、私たちなりの生き方がある。


 エイザも私も、“自由には生きられない”って教えられてきた。


 ずっとだ。


 世の中を知ろうとするたびに怒られて、「どこにも行くな」って、そればかりでさ。


 日本語を勉強したのは、「日本」っていう場所が、私たちの所縁のある場所だったから。


 東京に来ようって決めたのも、それが理由だった。


 私たちは研究所で生まれた存在だった。


 他の人たちと違って、「試験管」の中で。


 ちゃんと母親もいるし、血のつながりだってある。


 でも、遺伝子選択とかゲノム編集とか、わけわかんない実験の過程で生まれてきたせいで、生まれながらに“身分”を無くしたも同然だった。


 自分が「誰」かもわからなかった。


 本当の意味での国籍も、「故郷」も——

 


 それがどういう意味かを、子供の頃はわからなかった。


 知ろうとさえ思わなかった。


 研究所の外の世界がどんなところかも知らなかった。


 初めて、外の世界を見るまでは。



 

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