第9話 竹林散歩
昼食を食べて一息ついた後、レベッカは設計図を見て私に質問してきた。
「何か良いアイディアがでたのですか?」
「うん。とりあえずやってみようと思う。」
「手伝える事はありますか?」
「うーん……そうね。じゃあ軍手をつけて近くの竹林に行くから。」
「竹林ですか?」
「そうよ。」
私は肯定すると道具箱からナタを取り出した。
「1番安価で手に入りやすく、加工もしやすいからね。」
私はそう言いながら軍手を2組取り出して1組をレベッカに渡した。
「手を切りやすいからしっかり着けておいてね。」
「はい!」
何やら嬉しそうな顔のレベッカに疑問を持ちつつも私は背中に背負って歩けるカゴを2つ屋外の倉庫から持って来た。これで沢山持ち帰れる。
家から少し離れた先に竹林がある。あまり人は来ないのでたまに刈り取らないと増える為に私が暇な時に手入れしている。勝手に取ったりしているが今まで取りにきた人も管理者と名乗る者も来ていない為、自然のものなのだろう。
「足元気をつけてね。少し坂になってるから。」
「はい……しかし凄い竹林ですね。」
「ほんとよね。」
レベッカの手を引いている為こける事は許されない。私は足元をしっかり踏んで確認しながら前を歩く。
「よし、この辺にしようか。」
私は少し広い場所で足を止めた。そして背負ってきたカゴを置く。
「さてと、そんなに沢山は要らないけど竹は3本あれば大丈夫。カゴを持って来たのは笹は邪魔だから切り落としてカゴに入れて持って帰るわよ。」
「ですが、笹は何に使うのですか?」
「笹の葉は意外と売れるのよ。竹も余ったら売れるからね。他にも笹の葉は乾燥させれば枯れ草の代わりに出来るし、お風呂に入れれば香りも出るのよ。」
「なるほど。では、私は何をすれば?」
「私が竹を切るからその竹に付いてる笹をこれで根本から削いでくれる。」
私はレベッカに小型ナイフを渡した。
「それは護身用としても使えるからしっかり持ってて。私が近くにいない時に変なのに絡まれたらそれでザクッとね。」
「ザクッと……わかりました。」
使わないのが1番ではあるが、持っておかないとこの前の輩の様な事もある。用心に越した事はないのだ。
「今回は笹の葉を刈り取るだけだからそんなに気を配る必要ないわよ。ただ手とか切らないように気をつけてね。」
少し目が据わっていた為緊張を解く為にも少し柔らかい口調で言った。
「はい……」
今度は怪我をするという事に緊張してる様で逆効果だった。
「ナイフは使った事ある?」
「包丁ならありますが。こういうナイフはないですね。」
「そっか、じゃあ見てて。」
私はレベッカに渡したナイフを借りて近くの竹から笹を刈った。
「おおー!」
「まぁこんなもんよ。」
私は胸を張って自慢した。するとレベッカが少し背伸びして私の頭を撫でてくれました。
「キララちゃんは私の出来ない事が出来て凄いです!これからも私に沢山いろんな事を教えて下さい!」
「う……うん……」
めちゃくちゃ照れてしまった。でも、またレベッカに褒めて貰えるのならもっと頑張れる気がするのでした。
竹を3本切ってその後は根本を掘り返す。そして近くに新たな竹が出来ないかを確認。こうやって管理しないと無尽蔵に竹は生えてしまう。なので今道となってる部分には分厚い鉄板を敷き詰めている。こうする事で簡単に生えない様にしている。
「うーん……やっぱりまだ足りないから明日また追加で取りに行きましょ。」
「足りないのですか?」
「うん。座って入るとして大体この辺で切るとするじゃない。それを最低でも30本は必要なのよね。でもたった3本の竹じゃ少な過ぎるの。だから今日はこれだけを持って帰りましょう。」
私の説明にレベッカは納得してくれた。そうして日が暮れる前に私たちは家に帰り着くのでした。
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