第6話 親友の先へ……
「いやー、こうして見るとお2人さんはお似合いだね。」
リーフにそう言われて私はどういう意味か聞いた。
「そのまんまよ。他意はないわ。じゃあ私は仕事があるからまたね。」
そう言ってリーフは去っていきました。
リーフと別れて帰路に着いた。食器用ナイフはまた後日買いに行くとして帰ってベッド作りを始めた。
「本当に1人で作っちゃうんですか?」
「もちろん。2日で出来るから見てなさい。」
「では、その間私は家の中の掃除をしますね。」
レベッカはそう言って家の中へ入って行った。私は作業をしながら少し考え事をしていた。
(私とレベッカの関係ってなんだろう……)
リーフには親友と答えた。しかし、本当にそうだろうか?10年以上会っていないし、お互いの事もあまり分かってない……
(あれ?私たちの関係って……もしかして友達以下?)
あんまり人と触れ合ってこなかったから人との距離感が分からない……
(と、とりあえず聞いてみよう。私の事をどう思ってるのかを……)
そうして頭の片隅でネガティブな事を考えながらノコギリを引くのでした。
「まったくもう……キララちゃんは掃除が全くできてないわ。そういう所は昔と変わらないな。」
私は昔の事を思い出しながらはたきをもって高い所の埃を床に落として箒ではいて塵取りで取ります。
(私たちの関係ってなんなんでしょう……)
昨日私がキララちゃんに再会した時一度突き放されました。でも、あれは仕方のなかった事……とは言え私が悪いのも事実。でも私の事を気にかけてくれてますから嫌いではないはず……
(という事は……つまり私たちの関係は友達未満……)
いやいや、それはないはずです!それならはなから同棲しようなんて考えないはずです!
(とりあえず聞いてみましょう。怖いけど……知らないと始まらないもの!)
私は掃除をしながらなるべく返事がポジティブな事を考えていました。
少し疲れたから休憩をする事にした。私はレベッカに声を掛けて外に呼び出した。私は部屋にあるコーヒーを淹れてレベッカに渡した。
「はい、コーヒー。」
「ありがとうございます。」
レベッカはコーヒーを受け取ると一口飲んだ。
「あ、ブラックですね……」
「あっ、ミルクか砂糖入れる?」
「いえ、大丈夫です。キララちゃんが淹れてくれたんです。頑張って飲みます。」
気配りが足りなかった……いつものようにブラックで持ってきてしまった自分が腹立たしい。
「ごめん。砂糖持ってくるね。」
「うぅ〜……お願いします。」
素直なレベッカで助かる。私なら意地でも呑んでしまうだろうから。私は台所から砂糖とミルクを持ってきた。
「ありがとうキララちゃん。」
「どういたしまして。」
持ってきたけどレベッカは砂糖を入れなかった。どうやら負けず嫌いなところもある模様……
「ごめんなさい……やっぱり無理です。」
そう言ってレベッカはコーヒーにお砂糖を入れた。そしてかき混ぜて一口飲む。
「ふぅー……悔しいなー……ブラック飲めると思ったのに!」
「まだまだお子ちゃま舌だね。」
「むぅー、キララちゃんはどうやって飲めるようになったの?」
膨れっ面でレベッカが聞いてきたので普通に答えた。
「慣れよ。慣れないと護衛依頼とか出来ないから。」
「そうなんですか……」
深くは聞かず、レベッカはコーヒーを一口飲んだ。そしてレベッカはいきなり話題を変えた。
「キララちゃん……私たちの関係は今どの辺りでしょうか?」
「ぶふっ!」
私はコーヒーを吹き出した。先程考えてたことをストレートに聞いて来たからだ。
「な、何よ急に……」
「いえ、先程リーフさんに私とキララちゃんは親友と言ってました。ですが私たちは昨日再会したばかりでお互いの事を知りません。それで親友を名乗って良いのでしょうかと……」
お互い同じ事を考えていた様だ。私は無性に笑えてきた。
「あはは!」
「な、何がおかしいのですか⁉︎」
「いやー、ごめん、ごめん。でも同じ事考えてたんだね。」
「え……」
初めてみた。レベッカのポカンとした顔を……
「私もさ……迷ったんだ。レベッカと昨日再会して木の上に登ってさ。そしてこれから一緒に暮らそうとしている。」
私はコーヒーを一口飲んで口を湿らせる。
「本当はさっきからその事を考えてずっと考えを巡らせてたんだ。そしたらレベッカも同じ事考えてたんだから笑っちゃうじゃん……そんなのさ!」
「確かにそうですね。笑ってしまいますね!」
そう言うとレベッカもクスクスと笑い出した。
「だからさ、私たちはもう友達以上の関係なんだと思うわけよ。」
私はレベッカの隣に座って手を握る。
「でも、今のままだと友達以上恋人未満の親友止まりだからさ……」
私はそこで言い淀む。背中に嫌な汗を感じる。しかしこの感情を抑えていられない……私は断崖から飛び降りる気で言い放つ。
「私と……付き合って下さい!」
私は言い終わると勢いで頭を下げてしまう。まともにレベッカの顔が見れない。レベッカの手が私の手を強く握る。そして……
「もちろん!よろしくお願いします!キララちゃん!」
その言葉と同時に私は顔を上げた。レベッカの顔は少し赤く恥ずかしそうな顔をしていた。その顔が愛おしくて私は気がついたらレベッカを抱きしめていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新もお楽しみに!
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