第3話 初夜
私が家に帰るととんでもないことになっていた。
「なにこれ……」
「あっ、おかえりなさい。」
「これが私の家?」
そう私の家はめちゃくちゃ綺麗にされていた。散らかっていたテーブルの上や埃まみれの床も全て綺麗になっていた。
「そうですよ。でも、まだまだ片付けるところが沢山あるので続きは明日にします。」
そう言うとレベッカは手を洗う為に水道のある脱衣所に入って行った。
「いやいやいやいや……最高の嫁かよ……」
心の中で言おうと思ったけど口に出てしまった。
「ん?何か言いました?」
「な、なんでもない……」
少し照れてしまい戻ってきたレベッカの顔をまともに見れなかった。
夜は野菜のスープとパン、あとは保存していたグリズリーの肉を焼いた少し豪華な食事になった。そこで私はある事を思い出し聞いてみた。
「そう言えば私がここにいるのなんで分かったの?」
そうレベッカとは幼少期以降会っていなければ連絡すらしていない。なのになぜレベッカは私のいる場所を知っているのかだ。
「えっ?キララちゃん有名じゃないですか?前回の剣技大会女性初の準優勝どこの国でもニュースになってます。知らない方が無知と言えますよ。」
何故かすごい興奮した様子のレベッカに私は少し身体を引いてしまう。
「そ、そうなのね……私初出場だったから全然知らなくて……」
「初出場で準優勝だったんですか⁉︎凄いです!やっぱりキララちゃんは凄いです!」
物凄く興奮してぴょんぴょん飛び跳ねるレベッカは妙に幼く見えた。
「はいはい、そんなに興奮しないで夕飯食べましょうよ。」
「そ、そうでしたね。」
少し恥ずかしそうにして席に着いて再び食事を再開した。
「あの、キララちゃんはやっぱりギルドでも人気なんですか?」
「ん?いや普通……というかギルドでもとは?」
「いえ、街中でキララちゃんの話を聞こうとしたら結構な方が知ってて人気者なんだな……と……当然ですよね。準優勝した女性剣士ですから。」
「人気かどうかは知らないけどみんな私の事を気にかけてくれてるわよ。1人暮らしだし、まだ未成年だし……」
「そうでしたね。私たちまだ15ですからね。」
「来年で16だからお酒も飲めるようになるわね。」
「その時は2人でお祝いしましょう。」
「うん!」
これからはずっと2人でいる……それを実感させる言葉……だけどその言葉を信じきれない私がいた。どうかこの気持ちが杞憂に終わります様に……
今日は色々あって疲れた……だが今日はまだ終わらない。
「あの……レベッカさん……」
「何キララちゃん?」
「何じゃないわ!なんで私と一緒の布団で寝てるの?ベッドで寝なさいよ!」
「ええー……久しぶりに一緒に寝ましょうよ!」
「いや、一緒に寝た覚えないんだけど?」
「キララちゃんが私のベッドでよく寝てたわよ。その横で私もよく寝てたのよ。」
少し思い出した。確かに遊び疲れてレベッカの屋敷に行って今日の出来事を話しててうとうとしてたらそのまま寝落ちした経験がちらほらと……
「で、でも私たちあの頃より体も大きくなっちゃったから。流石にこれじゃ狭くない?」
「一緒に寝たくないのですか……?」
「その上目遣いの涙目は反則じゃないですか?分かったわよ!今日だけだからね。その代わり2人様の大きなベッド作るまでは明日から個別よ!」
「ぐぬぬ……仕方ありませんね。」
これは早急に作らないと怒られるパターンだ。明日から作り出さねば何をしでかすかわからない。
ただ……こんなに近くにいると懐かしい匂いが私の心を安心させてくれる……そんな気がするのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
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