第21話 旅立ち
検査が終わって私たちは1度私の実家に帰宅した。日は少し傾き始めていたがまだ日は高い。だが家に帰るのは明日にする。その理由は……
「あー!もう!全然片付かない!」
そう実家の片付けだ。
「キララちゃん。こちらのテーブルや椅子はまだ使えますよ?」
「あー!なんで壊れてないのに物置におくかな!」
壊れてない……だが私が産まれる前から使ってたテーブルと椅子達。いつ壊れてもおかしくないのだ。だから新しいのを買ったのだ。
「あ、このテーブルに書いてある字はキララちゃんのですね。」
「そんなの見つけなくていいから!片付けるよ!」
照れ隠しに怒鳴って片付けをしていく私たち。そして大きい家具は分解して手押し車に載せて持っていく……のは明日にして今は分解と片付けを入念にやっていく。
「ねぇ、キララちゃん。」
「なに?」
「私たち今片付けしてますけど……」
「うん。そうだね。」
「次に来た時にまたこんな事なってるって事……ありますかね?」
「……その時はまたこうして2人で片付けしよう。思い出になるわよ。きっと……」
「誤魔化しましたね!」
2人で笑いながら作業を続けているといろいろと出てくる。そして使える物もたまにある。
「これは……使えそうね。」
「キララちゃん。これは持ってていいかな?」
出されたのは食器一式だった。
「それは聞かないとダメだから待ってて。OKもらったら持って帰ろう。」
「はい!」
返事を聞いて再び掃除をする。そしてまたいる、いらないの分別を再開する。そうして日が暮れ出す頃にお母さんが帰ってきた。
「あら、2人とも早かったのね。」
「うん。検査結果は良好だって、でも体力がないからこれからは体力作りね。帰ったら毎日走らせるわ。」
レベッカの体力の無さの問題、それはまず走り込む事だと考えた。何事にも走ることが基本で私もずっと走っていて今の体力を手に入れたんだ。
「でもね。ちゃんとレベッカちゃんの事を考えて走るのよ。」
「分かってるわよ。」
分かってるのになぜか私には念を押されてしまう。そのまま片付けをして持って帰りたい物の許可を取ってそれは別にしてから残りのゴミは明日帰る前に捨てることとなった。
それから夜ご飯を食べ、そろそろ寝ようとした頃私は母さんに呼ばれた。
「キララ、ちょっと……」
「?」
私はレベッカが寝ていたのでそのまま母さんの元へ行った。
「なに?」
「キララはこっちに帰ってくる事考えてないの?」
唐突な話だった。
「前は1人暮らしだったけど、今はレベッカちゃんと2人暮らししてるんでしょ?これからもっと働かないといけなくなるわ。」
「分かってる。母さんたちはレベッカの事も考えて言ってくれてるんだよね。」
「分かってはいるのね。だったらこっちに帰ってきて……」
「まだ……頑張らせてくれないかな?」
「キララ……」
「あの子も頑張って私の元に来てくれたんだから。私も頑張ってあの子と一緒にいたいんだ。」
「分かったわ。お父さんにもそう伝えておくから。何も言わないけど、あれで心配してるんだからね。」
「分かってるわよ。父さんが連日家で夕飯食べるのなんて珍しいからね。」
父さんはお酒が好きでよく帰りは呑んで帰ってきていた。ましてや休肝日なんてないほどに……その父さんが2日連続で早く帰って来るなんてありえないのだ。
「話は終わり?」
「うん、また寂しくなるわね。」
私は笑って誤魔化して、レベッカが寝ている部屋に戻った。そして起こさないようにベッドに潜って私も眠るのだった。
次の日、朝から私はゴミを捨ててきた。そして午後の馬車で家に帰ったのだった。
「じゃあ気をつけてね。」
「うん、お父さんにもよろしくね。」
「また帰ってきなさい。」
私たちは馬車に乗って帰った。
「寂しいですか?」
「少しはね。でも、レベッカがいるし、大丈夫よ。」
たぶんこれまで帰らなかったのは1度帰ってしまったらもう戻らない可能性があったからかもと少し考えた。
「キララちゃんのお母さんたちは優しい人たちでしたね。」
「猫かぶってるだけよ。」
「ふふふ。でも羨ましいです。笑って、喧嘩して、泣いて……そんな家族が私にも欲しかったです。」
「これからなって行けばいいじゃん。私とさ。」
「……それはプロポーズですか?」
「プロポーズはもうしたじゃん。今のは率直な感想よ。さぁ、馬車がくるから乗ろう!」
「はい!」
私はレベッカの手を引いて走りだした。これからの生活を楽しくするために。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
今回はここで終わりにしたいと思います。伏線回収も全く出来ず申し訳ございません。また技量を上げてくるので次回作を楽しみに待って頂けると幸いです。