第2話 2人暮らし
街の少し外れに私の家がある。自分で作った自作の家でとりあえず隙間なんかはないので雨風は凌げる。
「……キララちゃんはいつもここで暮らしてるの?」
「そうだよ!家具も全て自分の手作り!ここまで完成するのに2年もかかったよー。」
私はニコニコと笑って自慢した。
「す、凄いとは思うのですが……掃除は?」
レベッカの言葉に私は目を逸らした。掃除はたまに気が向いた時にしていた。基本は野宿だし、ただ休むだけのスペースならベッドと椅子とテーブルがあればいい。
「あはは……」
「はぁ……昔から都合が悪くなると笑って誤魔化してましたけど相変わらずですね。」
呆れられてしまった。流石にここに一緒に住むわけにはいかないのでギルドに貸家を探してもらおう。
「今からギルド行く?」
「何故ですか?」
「いや、流石にレベッカをこんな家とも言えない場所に住まわせる訳には……」
「必要ありません!私はキララと一緒に居たいのです。その為なら例えどんなボロ家でもなんなら洞窟でもいいです!」
めちゃくちゃ嬉しいことを言ってくれてついうるっとなってしまう。
「でも、身体の方は大丈夫なの?」
「大丈夫だからここまで来たんです!」
「そうだけど……レベッカが大丈夫ならいいっか!」
私は楽観的に大丈夫という言葉を信じる事にした。しかしやはり心配ではあるので近所病院には一回行ってみる予定だ。
「それじゃあ片付けしますから、キララちゃんは今晩のご飯の材料をお願いしてもいい?まだ街の中が分からないので。」
「えっ、いいの?結構散らかってるから大変だよ?ていうか……レベッカ料理出来るの?」
「キララちゃん……それものすごく失礼だよ!ちゃんと花嫁修行はしてきました!」
「それにこのくらいの散らかりなら大丈夫です!任せて下さい!」
そう言われながら私は家を出された。
(まぁ……掃除だけだし。大丈夫よね。)
私は街へ食材を買ってくることにした。
街に行くと何故か私はジロジロと見られていた。
(なんだろう……やけに視線を感じる……)
「あっ!キララじゃん。」
「あー、リーフかどうしたの?」
私に声を掛けてきたのはリーフ・フロルという少女で弓の使い手だ。一緒に仕事を行った事はないが何度かギルドで会い話す仲にはなっていた。
「どうしたのって。今街中でキララの噂で持ちきりよ。」
「はぁ?」
私は全く訳が分からず声を上げた。
「何惚けてるのよ。キララがめちゃくちゃ美人な人をお持ち帰りしたって噂になってるのよ!」
「あー……あれは私の……」
そこで止まってしまった。今はレベッカとどういう関係だ?知り合い……ではないか……恋人?いやいや久しぶりに会った子だよ。ないない……という事はお嫁さん?そうして出した結論は…。
「友達だよ。」
「ずいぶんと溜めて言ったのが友達とは……余程仲がよろしいようで……」
「うるさいな。含みのある言い方しやがって!」
私は少し怒った口調で言うも本気で怒ってなどいない。その証拠に向こうはヘラヘラと笑って返してきた。
「はいはい、で、その子は今日からあのボロ小屋に泊まるの?」
「うん。あの子も良いって言ってくれたし、ただしばらくはハンター業はお休みね。家を完成させないと。」
小屋と言われたのは少しイラッと来たので家と返してやった。
「まぁ家でも小屋でもどっちでもいいけどさ。」
「よくないわ!」
「なんで業者に頼らないの?」
私のツッコミを華麗にスルーした挙句まともな事を言ってくる。
「ただのカッコつけよ。」
「誰に対してよ?」
「誰でも良いでしょーが!」
「まぁいいわ。元々話すと言ってもプライベートは基本2人して秘密にしてたし。深く聞いて悪かったわ。ただ仕事も忘れないでね。」
「分かったわよ。でも数日はギルドに顔出さないからね。」
「はいよー。じゃあその間は稼がせて貰うわ。」
そう言ってリーフと別れた私は急いで買い物を済ませて家に帰った。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回もお楽しみに!
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