第18話 今日の宿泊先へ
病室に入ると初老のお爺さんが座っていた。
「やぁ、久しぶりだね。まさか会えるとは思ってなかったよ。」
「お久しぶりですシャーモ先生。子供の頃以来ですね。」
レベッカは深々と頭を下げてお辞儀していたから私もした。
「そちらはお友達かね?」
「はい。親友のキララさんです。」
「ほっほっほ。そうかいそうかい。君にもそんな人が出来たのかい。めでたいね。で、今日は挨拶に来た訳ではないのだろう?」
「はい。キララさんが私の身体が本当に大丈夫かを調べて欲しいという事でしたのできました。」
私の方を見てそう答えるレベッカ。少し怒った表情だが、やっぱり心配でしかないのだ。
「なるほど……けど、検査は明日だな。流石に即日来て検査しましょうでは難しいからね。」
「よろしいですか?キララさん?」
「うん、私は大丈夫だよ。」
「それは良かった。でも良かったよ。君が元気になってくれて……僕が最後に見た時は呼吸が浅くて何とか転院させるので精一杯だったからね。」
「あの……そんなに酷かったのですか?」
「そうだね……あの時は正直ギリギリで設備の整った病院がこの街にはなかったものだから隣国の病院へ向かったんだよ。」
懐かしそうに語る先生はどこか悔しそうにも見えた。
「私が無力だったばかりに君の容態に気づくのが遅くなってしまった。本当にすまなかったね。」
「いえ、あの時先生が手配してその道中も容態を見守ってくれていたおかげで私がここにいるのです。感謝する事はあっても恨む事はありません。」
「そう言ってもらえると救われるよ。」
凄く優しい笑顔で言われた私たちも頬が緩んでしまう。
「今日再会出来たのも何かの縁です。これから何かありましたらよろしくお願いします。」
レベッカは頭を下げていたので私も同様に頭を下げた。
「では、挨拶もこの辺で、今のレベッカさんは顔色も良いがやはり検査は昔の項目全てで大丈夫かな?」
先生が聞いてきてそれを確認する為にレベッカが私を見てくる。私が頷くとレベッカは返事をした。
「はい。よろしくお願いします。」
「では、準備しておくよ。今日泊まる場所は決めているのかい?無ければ使ってない部屋を提供するよ?」
「いえ、今日泊まる場所はあるので大丈夫です。もし断られたらその時はお願いします。」
「キララちゃん……その言い回しは不安しかないのだけど……」
レベッカから不安の顔を見せているが、まぁ大丈夫だと思うから……うん……大丈夫なはず。
それからお礼を言って病院を出る頃には夕暮れになっていた。
「それで……どこに泊まるのですか?」
「あぁ、私の実家。」
「えっ……?ええーーー⁉︎聞いてないですよ!」
「うん、言ってないもん。」
私の実家はもともとは今住んでる街にあったのだが、父親が病気になった為、通院しやすい中心部に移住したのだ。私はその時にはすでにハンターとして働いていたからあの街に残ってずっと一人暮らしだ。
街を少し歩いて何か手土産を買った。そして実家に着いた。
「そういえば私、キララちゃんのご両親に会うの初めてです。」
「そういえばそうね。じゃあ挨拶も兼ねて行こうか。」
私はレベッカの手を握ると家の中に入っていく。そして家の扉をノックする。すると中からお母さんが出てきた。
「ただいま……」
「えっ?キララ?なんでいるの?」
「こっちに急用があってね。1日だけ泊めてくれない?」
「まったく……あなたって子は。おかえりなさい。それでそちらの方は?」
お母さんはレベッカの方を見て聞いてきた。
「あぁ、友達のレベッカだよ!今は同居してるの。」
「は、初めまして!レベッカ・クラリスです!よろしくお願いします!」
「えっ、あのレベッカちゃん⁉︎そう……良かったわね。キララ、戻ってきてくれて。」
「……」
私はなんとも言えない顔をしてたと思う。
レベッカが去ってすぐの頃……
「ねぇ、お母さんレベッカいつ帰ってくるの?」
「さぁ?元気になったら帰ってくるわよ。」
翌日……
「ねえ、まだ帰って来ないのかな?」
「キララみたいに元気ならすぐ帰って来れただろうけどね。」
更に翌日……
「ねえ、まだ帰って来ないの?」
「まだ帰ってこないね……」
そのまた翌日と私は半年以上も同じ事をお母さんたちに聞き続けていたのだ。今考えると相当面倒くさい子供だったと思う。
「ねぇ、信じていれば帰って来てくれたでしょ?」
「うん……そうだね。」
「あらあら、言葉とは裏腹になんて顔してるのよ。子供の様な笑顔浮かべちゃって……」
「ふふふ……」
私の顔を見て笑う2人……何がそんなに可笑しいのやら……
「さぁ、入って入って!とりあえず荷物置いてゆっくりしていきなさい。」
「うん、そうするつもり。ただいま!」
「お邪魔します。」
(あらあら……)
お母さんは私たちを家の中に入れて私たちの後ろ姿を見た時に気が付いた。私たちが手を握ってる所を……そして楽しく話す私たちを……
(この子もようやく帰ってきたのね……おかえりなさいキララ。)
そして家の扉が閉まった。
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