第17話 甘えん坊
今日は私が先に目が覚めた。そしてレベッカを抱きしめて寝ていた為、下になってた腕は痺れていた。
「うん。寝る時は流石にやめとこう。」
私は静かにその誓いを立てた。そして私は起きて久しぶりに……いや3日ぶりくらいに自分で朝食を作った。卵とベーコンを焼いてその脂を利用してパンもフライパンで焼いた。
「おはようございます……」
朝食を作っているとレベッカが目を擦りながら起きてきた。
「おはよー。よく眠れた?」
「はい……」
そのままふらふらとした足取りで私の隣に来て腕組んできた。
「おぉ……どうした?」
「ん……ちゃんといる。」
めちゃくちゃ幼く感じた。レベッカはめちゃくちゃしっかりしてる。私よりずっとだ。
「寝ぼけてる?」
「ううん……大丈夫です……もう少しこのままでも良いですか?」
どちらかと言うと起きた時に私が居なかったから探しに来たという事みたいだ。だけどこのままだとお皿に盛り付けられないから一旦解放してもらう。
「ごめん、ちょっと離れてて、お皿に盛り付けるから。」
「うん……」
素直に話してくれるあたりやはり寝ぼけてるというわけではないようだ。私は素早く盛り付けをする。
「ほら、顔洗って口の中うがいしてきなさい。」
「うん……」
レベッカが歩いて行く方へ私も思わず付いて行ってしまう。よく見ると私の服をレベッカが掴んでいたからだ。
「待て待て!1人で行くの!」
「はーい……」
レベッカは素直に返事をして外の井戸に向かった。そして戻ってきたレベッカは顔を真っ赤にしてた。
「あの……私……ごめんなさい!」
「気にしなくていいから朝ごはん食べよ。」
どうやら寝ぼけてたらしい。レベッカが起きる前に私は鍛錬に出てるから見たことなかったけど……なかなか可愛い一面だった。
朝食を食べた後、洗濯物を家の中に干して私たちはクルス先生に紹介して貰ったシャーモ先生に会いに行った。そこは街の中心部。賑わいも全然違った。
「この街は広いですね……私の住んでた街とは段違いです。」
「レベッカはどんな街に住んでたの?」
「小さな街でした。すぐ近くには山があり川もありましたし、街と街の間にも広大な野原を通らないと行けないくらい離れてましたので……こんなに早く大きな街へ着く事もありませんでした。」
身体の療養には自然に近い方が良いと言われてる。だからそういう場所に引っ越したのだろう。私の住んでる街は広い。何故なら複数の小さな街が吸収されて広い街になったからだ。その為、道も整備されている。私が拠点を置くのは街の南の方側だ。そして中心部からはかなり離れている方だ。
よって今日は泊まって明日帰る。
病院は街の中でも一等地という場所にあった。初めて来たからめっちゃ迷った。
「つ……疲れたね。」
「はい……」
普通に人に聞けばよかったと後悔したが仕方ない。中に入って受付へ行く。
「あの……受付できますか?」
「はい、紹介状などありますか?」
受付の方から言われて私はクルス先生からの紹介状を出した。
「シャーモ先生ですね。少しお時間かかりますがよろしいですか?」
私はレベッカの顔を見てレベッカは頷いた。OKということだ。
「分かりました。待ちます。」
私は了承の返事をすると受付の方は案内してくれた。流石は大病院。先生たちそれぞれで区画が仕切られている。案内が無いとまた迷うだろう。
そして診察室の前の椅子に座って待つ事になる。他に待っていた方は4人だった。しばらくかかりそうだ。
「先にお昼食べてくれば良かったね。」
「そうですね……キララちゃん何か買ってきてくれませんか?」
その提案に私は驚いた。昨日も一昨日も私が離れると怖くて顔が真っ青になっていたのだから。
「大丈夫なの?1人で……」
「……私も頑張らないといけませんから……!」
「……無理してない?」
「多少は……でも、甘やかされてばかりでは大人になれませんから。」
レベッカは私を安心させる様に微笑んだ。覚悟があって言ってるのだ。ならば私はその言葉を信用してあげるしかない。
「分かった。じゃあすぐに帰ってくるから待ってて。」
私は早歩きで病院内の売店に行ったのだったが、お客さんで溢れていた。私は焦る気持ちを押し殺してサンドイッチと飲み物を買って会計に並んだ。
(長いな……)
私は焦っていたせいでつま先で地面をパタパタと叩いていた。すると後ろから声がした。
「焦っても仕方ないよ。」
振り向くとそこには杖をついたおばあちゃんがいた。
「えっ、あ……友達を待たせてるので……少し焦っちゃって。」
「まぁ……それは急ぎたくなるわね。」
おばあちゃんは優しい口調で私に言い聞かせてくる。
「でもね。急いでも仕方ない事もあるのよ。ほら、今レジをやってる子たちは速くしないとと一生懸命やってるわ。あの子達にもっと速くとは言えないでしょ?」
「ええ……まぁ……」
「待ってればその時はやってくる。お友達もきっと分かってくれるよ。」
「ええ、でも……私が急いでるのは別の理由でして……」
「ふふふ。そのお友達が1人だと心配なのね。」
「はい……」
「でも、あなたをここに来させたのだからそれは大丈夫だからよ。信じてあげなさい……そのお友達の事をね。」
何故か安心してしまう声音で私は焦る気持ちを抑える事が出来た。なら私の出来る事は1つ黙って順番を待つ事だった。そして順番がきてお会計をしてもらって、おばあちゃんにお礼を言って戻った。
待合室に戻るとレベッカが座って待っていた。
「お待たせ。大丈夫だった?」
「はい!キララちゃんなら早く帰ってきてくれると信じてました!」
「はいはい、ありがとう。じゃあはい。これ飲み物とサンドイッチね。」
「ありがとうございます。」
呼ばれるまでの間にサンドイッチは完食してしまった。そして待っている間にレベッカが寝てしまい話し相手が居なくなってしまった。
(まぁ……無理もないか……朝から馬車に揺られてここまで来たのだし。街に着いてからも歩きっぱなしで私も少し疲れてるし。)
仕方ないと思い私は順番が呼ばれるのを待つ事にした。そして1人、また1人と呼ばれて私たちの番になる。私はレベッカを譲って起こした。
「レベッカ、起きて。次呼ばれるよ。」
「ん……んー……はっ、す、すみません!私つい……あれ?どうしたのですか?」
「ううん。なんでもないよ。」
朝の甘えん坊タイムが始まるかもと少し期待したがダメでしたとさ。そして呼ばれて病室に入る。私は入るか入らないか迷ったが服の裾を掴まれてたので強制連行となった。
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