第15話 診察
私が起きるとレベッカはもう起きていた。
「おはようキララちゃん。今日は朝の鍛錬良かったのですか?」
「うん、レベッカが心配だし、昨日設計図とにらめっこしてて寝るの遅くなったからね。今はどのくらい?朝を少し過ぎたくらい?」
「お昼前です。」
「えっ?」
私は外へ出るともう日が高く昇っていた。完全な寝坊である。
「結構起こしたのですが、あとちょっと……ってずっと言っていたので……」
申し訳なさそうに言ってるけどレベッカは悪くはない。悪いのは私だ。だけどまずい!非常にまずい!
「レベッカはもう行ける?」
「は、はい。」
「よし、行こう!すぐ行こう!」
「ダメですよ!キララちゃんはまだ着替えてないんですから。」
「いやいや!もうそんな事良いから。行くよ!」
「ダメですって!恋人がそんな格好では私が恥ずかしいんです!」
そう言われては仕方ないのでとりあえず身だしなみを整えて服を着替えた。そこからはなるべくダッシュ……なんてしたらレベッカが置いてけぼりになるから手を繋いで速足……そして太陽が傾き始める前になんとか到着したが……
「お前さんの友人の為に時間空けておいたのにお前さんが寝坊で遅れるとは何事かな?」
結局昨日の日誌で頭をバシバシ叩かれた。レベッカが止めてくれるものの……止むことはなく。
「心配いらん。このアホにはこのくらいしないと分からんのだ。」
と、言われる始末だ。まぁ説教はそこそこに……レベッカの診察が始まった。
「えーっと、私は席を外した方がいいかな?」
そう言うと再びクルス先生に日誌で叩かれた。そして私の手をしっかりと掴むレベッカであった。
「うん……居た方がいいのね。」
という事で同席となった。
「まず、昨日何があったか教えてくれる?言える範囲でいいから。」
「はい……」
そうしてレベッカは昨日私が来るまでの事を話し始めた。
「……という事がありました。」
「凄いじゃない。敵の攻撃を避けるなんて。普通なら硬直して動けないよ!」
ゴツン!
私はレベッカが無傷な理由を聞いて驚いたと同時に称賛した。しかし、そんな私にクルス先生は鉄拳制裁をした。
「何言ってるの!この子はめちゃくちゃ怖かったのよ!たまたまだったかも知れないけど一歩間違えれば死んじゃってたのよ!ほんとっデリカシーや道徳心がないわね。」
「ごめんなさい……」
確かに恐怖からなんとかしなくてはという生存本能が今回レベッカを救ったのは間違いない。だがそれを今褒めるというのは場違いにも程があった。
「怖かったね……でも、今回はキララが来てくれたから助かったでしょ?」
「はい……ですが、もしキララちゃんが間に合わなかったら……私はここにいません。もし、私のせいでキララちゃんが傷ついていたら私は立ち直れませんでした。そのせいでまたキララちゃんが自信をなくして欲しくないんです……もし……」
「はい、ストップ。」
そこでクルス先生は人差し指をレベッカの口に当てて止めた。
「まずキララ、アンタはレベッカちゃんの後ろからハグしてあげなさい。」
「えっ?なんで?」
「良いから……早くしなさい。」
ゲンコツをちらつかされてるので私は黙って従う事にした。正直人前では恥ずかしい……
「じゃあレベッカちゃん。今キララはどこにいる?」
「私の後ろにいます。」
「そうね。リラックス出来るでしょ?」
「緊張しています……こんな事された事無いので……」
「あら、まだ付き合いたてなの?初心ねー。」
茶化してる様で少しイラッとしたがクルス先生は続けた。
「じゃあキララ、アンタは毎日それをしてあげる事、少しでも良いから。」
「なんでですか?」
「何?恥ずかしいの?でもね、これはレベッカちゃんの為なのよ。」
「だから、理由を教えてくださいよ!」
クルス先生は1つため息を吐いて説明してくれた。
「それはね。レベッカちゃんがあなたに恋してるからよ。恋してる子のメンタル回復方は好きな人の匂いや温もりなの。現に今さっきまで手を握ってないとキララ以外の他人と話す事も出来なかったでしょ?」
そう言えばここに来るまでも人がくる度に手に力を入れてた様な気がする。あれは不安だったからなのかもしれない。
「だからキララのその行為自体が薬なのよ。」
「分かりましたけど、これはレベッカが座ってる時の方が良いの?」
「好きにしなさい。お互いリラックス出来る方がいいでしょ?」
「とてもじゃないけどドキドキしてずっとはしてられないよ!」
とりあえず耐えかねて1度レベッカから離れた。そしてレベッカの顔を見ると顔が真っ赤になってた。
「何言ってるのよ!巨大ゴブリンをも倒し切ったキララがそんな弱気じゃダメでしょ!しっかり女の子をリードしてあげな!」
「あれとレベッカは全然違いますよ!あれは敵、この子は恋人です!……あ」
私はつい勢いで恋人と言ってしまった。途端に顔が赤くなる。しかしクルス先生は何事でも無い様に続けた。
「いや、何でそんなに顔赤くなるの?あなたたち2人がそう言う関係なのは街のみんな知ってるよ?」
「「はい?」」
これには私だけでなくレベッカも驚いた。
「昨日一昨日とキララが街中で今まで見た事のない腑抜けた顔で歩いてるって噂になってんだよ。そしてその前日から今までいなかった人が来た。そこまで来ればもうみんな察してるって。」
「つまり、さっきのは揶揄ってるのではなく……私たちの事分かってて……」
「隠すつもりならもう少し隠しなさいよ……丸わかりにも程があるぞー。」
私は膝から崩れ落ちた。この私がこんな簡単に心を読まれるなんて……と。そしてレベッカは目を回してそのまま椅子から転げ落ちた。
「あーあ、目を回しちゃってるよ。」
「これ……もしかして私のせい?」
「うーん……この子のメンタルのキャパが小さすぎるのも問題かな?」
とりあえずレベッカをベットに寝かせてあげるのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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