第13話 突然の来訪者
中に入ると酷く怯えたレベッカがいた。
「ちょっとレベッカ⁉︎」
「あ……キララちゃん。」
私はレベッカの元まで歩み寄り抱きしめた。
「すまないが、今日はお前さんと一緒の方が良さそうだ。相当なトラウマなのだろう。お前さんと離れた途端これだからな。明日からカウンセリングを始めた方が良い。」
「そうですか……」
「今日は早めに休ませろ。そして明日は午後からの診察だ。時間を長めに取っておくから。」
(となると明日の朝稽古は無理だな。)
「分かったわ。レベッカごめんね。無理させちゃって。」
「いえ、大丈夫ですから……」
先程より顔色が悪い。他に怪我がないかも診てもらった方が良さそうだ。
「すまないな。今から医者同士の勉強会と講習会があるんだ。それが終わる頃には日が沈んでるかもなんだわ。」
「いえいえ、そんな中診てもらっただけでもありがたかったです。お金は?」
「あー。明日纏めて貰うよ。今勘定してる暇ないからな。」
そういうとクルス先生も出掛ける準備をしだした。そして私たちと共に建物を後にした。そしてクルス先生はこんな質問をしてきた。
「キララは蓄え結構あるのかい?」
「えっ?まぁそこそこには……」
「しばらくはあの子の近くに居てあげないといけないから休業しな。」
「分かってますよ。今は増築中なのでそのつもりですし。」
「そう。なら安心ね。たぶん緊張の糸が切れてるんだと思う。これは寝る前に飲ませて。睡眠薬だから眠れるなら飲まなくて大丈夫よ。」
「ありがとうございます。」
その帰り道だった。レベッカが急に謝ってきたのは。
「キララちゃんごめんなさい……」
「何が?」
「……私が弱いからキララちゃんに迷惑ばかりかけてしまって……」
「気にする必要ないよ。私も最初そうだったし。」
「でも……私はキララちゃんみたいに自分を守れないし……戦えない……」
「そうね……でも、私はレベッカみたいに頭が良いわけではないし、掃除も苦手よ。」
「ですが……」
私はレベッカが何か言う前にその口を人差し指で押さえた。
「はい、ストップ。それ以上言うとほっぺたぷにぷにするよー。」
「はい……」
「良いじゃん、適材適所。私には私にしか出来ない事があるしレベッカにはレベッカにしか出来ない事がある。」
「あるんですか?」
「もちろん!私はレベッカが笑っていてくれるだけで元気が出るわ。」
「そうなんですか……?でも、私もキララちゃんが元気でいると元気になります。」
「そういう事よ。お互いに出来る事があるの。それを全うすれば良いだけなのよ。」
そうしてまたレベッカの手を繋いで帰る。するとレベッカから先程と違う明るい声が聞こえた。
「キララちゃん……ありがとう!」
「どういたしまして!」
家に帰ると扉が開いていた。そういえば鍵をかけるの忘れていた。そして少し扉を開けた時人の気配がした。
(泥棒……?まずいわね。)
少し考えていると中から声が聞こえた。
「おっ、帰ってきたな。」
その声に聞き覚えがあった為、私は扉を開けた。
「よ、おかえり!お邪魔してるよ。その子が例の同居人?」
「なんでいるんですか⁉︎というかなんで中に⁉︎」
中に居たのはアーネの頭だった。とりあえず安心するもなんでいるのか問い詰める。
「ん?用があるから来た。鍵が開いてたから待ってた。」
「そう言えばキララちゃん鍵かけてませんでしたね。」
レベッカからも追撃を受けて私は撃墜されのだった。そんな私を他所にアーネはレベッカに挨拶していた。
「こんばんは、私はアーネ。キララの加入してる自警団の長をしているわ。よろしく。」
「あっ、えっ……はっ!わ、私はレベッカ・クラリスです。キララちゃんがお世話になってます!よろしくお願いします。」
そのまま2人は握手をしていた。そこから少し立ち直ってアーネの頭に先程の質問をした。
「それで、アーネの頭は何の用事ですか?」
「えっ?そこのレベッカさんに会いに来ただけよ。一匹狼のアンタがそこまで気が許せる相手がどんな子なのか気になってね。」
「まぁそうですね。頭は何度も私に会いに来てお願いして来てましたからね。」
「だな!ここまで頭下げたのは初めてよ。」
「あの頃は人を信じきっていなかったもので……」
「まぁ名前さえ貸してくれれば良かったんだけどね。それだけで自警団として名が広がるもの。」
「あの……」
そこまで話してレベッカが口を開いた。
「ん?どうしたのレベッカ?」
「キララちゃんのお仲間でしたら今から夕食作るので良かったら食べていきませんか?」
「えっ?いいの⁉︎レベッカちゃん優しい!」
「でも、レベッカ大丈夫?」
私がレベッカを心配をするもレベッカは頷いて肯定した。
「大丈夫です。キララちゃんが居ますし……」
「そう。じゃあ手伝おうか?」
「大丈夫ですよ。簡単に出来るものを作りますので。」
そう言ってキッチンに入って行った。
「それで……何かあったんですか?」
「やっぱり分かるか……」
「すいませんがしばらくは仕事は行きませんよ。」
「おや、いきなり釘を刺されてしまったな。」
少し困った顔をしているがこのくらいで下がるほどこの方は控えめではない。
「まぁ話だけでも聞いておいてほしい。」
こうやって無理やり話に持っていくのだから……
「まぁ耳に入れておくだけなら。」
アーネの頭はにっこり笑って話し始めた。
「ここ最近街中でスリや万引きみたいな犯罪が増えてる。他の自警団の連中も捕まえてるがイタチごっこ状態だ。」
「なるほどですね。ただこういう時こそ警察の奴らが取り締まるんじゃないですか?」
「分かってるでしょ?この街の警察は信用出来ない。だから複数の自警団が取り締まってる。」
「はぁ……いつもの事ですけどいい加減あの組織解体した方が良いんじゃないのですか?」
「まぁね。だけどそれは出来ない。なんだかんだで抑止力になってるし、私たちハンターから犯罪者が出た場合取り締まるのは彼らだ。それにまともな人はまともだ。一括りにしてはいけないよ。」
「……それもそうですね。」
私はどこかで彼等を下に見ていた。だけど彼等の中にも真面目に働いてる人がいるんだから。アーネの頭の言う事は間違っていない。
「あの、お話は終わりましたか?」
「えっ?うん。」
話に夢中でレベッカは1人で料理をさせてしまっていた。
「ごめん!すぐ手伝うよ!」
「大丈夫ですよ。そんなに沢山は作ってませんから。」
そう言って持って来たのは大きめの皿に盛られた大量のパスタと少しの干し肉だった。
「干し肉は味を変える時に食べて下さい。」
「おおー!凄い!キララ良い嫁貰ったわね!」
「よ、嫁じゃないですよ!」
「えー、そうなの?じゃあ私が貰おうかなー。」
「あげませんよ!大切な親友ですから!」
「ははは!親友か!まぁ良い戴こうじゃないか。冷めてしまうぞ。」
「言われなくても食べますよ!」
「「「いただきます。」」」
レベッカは少し笑っていた。このまま開放に向かうと良いのだが……と考えていたらアーネの頭に全て食べられそうになった為食卓戦争となった。あとパスタはめちゃくちゃ美味しかった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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