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江戸幕府再興会  作者: 零月隼人
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第6章 「第二次禁門の変~前編~」

明倫館高校にて。

試衛館高校元生徒会長の天野孝明が、ついに発狂をやめ、部屋から出てきた。

桂孝允と西郷高森が、平伏して出迎える。

「陛下、明倫館の全兵士、出陣準備整いました!」

「同じく、いつでも出兵可能でごわすよ。」

帝は、強ばった表情のまま二人を一瞥した後、関白・九条直只の方を見る。

関白は静かに頷く。

帝は覚悟を決め、宣言した。

「これより、朕らは京に攻めのぼる。試衛館を取り戻すぞ‼」


例の幽霊騒動から一週間後。私達は特段変わることなく、江戸幕府再興会の部屋で過ごしていた。

━━正直抜けたい、が、将軍がそれを許さない。

そんな将軍と老中は、時々試衛館に赴いているため、いない日もあるんだけど・・・・・・

(二年生の旗本達は、全員ちゃんとまともな人達なので、苦労はしない。)

そんな、不本意ながらもいつもと変わらぬ日々を送っていたのだが。

突如、目付の鳥居妖像先輩が、声をあげた。

「上様!試衛館・松平殿より救援要請です!」

・・・・・・え?

慶保さんが?

将軍がすぐさま反応する。

「続けろ!」

「御意‼松平殿の電子書状を読み上げます。

━━━━━━某、薩摩・長州の攻め受け、戦有様に入り候。薩摩・長州の平数は共に一万宛(ずつ)、こなたは兵力の足らぬ間、籠城戦に移行し候。げに恐れながら、早急なる救援を求め候。━━━━━━

以上です‼」

いやなんで古文なの?

ともかく、状況が切迫しているのは伝わってきた。

将軍が立ち上がる。

・・・・・・嫌な予感がする。

「試衛館に向うぞ!旗本5名は、ここに残れ。こちらの留守を狙われてはかなんからな。

現場には、私、老中、近藤、土方、沖田、明智の6名で向かう。」

やっぱり!そう言うと思ったッ‼

私はすぐさま反応する。

「しかしッ!こちらは6名、対して相手の兵力は合計2万。私達が行ったところで焼け石に水では⁉」

しかし将軍は、ニヤリと笑い、秀光さんの方を見る。

「秀光、問題ないな?」

「ええ。対処可能な範囲です。」

は⁉

マジで言ってるの⁉

この人何者なんだよ・・・・・・

将軍が続ける。

「沖田、君も秀光の援護をしてやれ。」

「よろしくお願いしますね(圧)」

秀光さんの笑顔が怖い。

あの掃除君が、ぶるぶる震えている。

・・・・・・マジで何されたんだよ。

「そして、残りの、私、老中、近藤、土方は、敵の本陣に突入する!」

頭湧いてんのかコイツ。

呆れて言葉が出ない私の肩に、才蔵が手を置く。

「まあ、いつものことだ。こうなったコイツは、もう誰止められんだろ。さっさと行って、終わらせようぜ。」

「・・・・・・まあ、そうだね。」

私も、説得を諦める。

「上さまに、何たるご無礼‼」

相変わらず、老中が煩い。

将軍が、目を暗く輝かせる。

「今回の戦、明倫館と造士館の背後には、かならずヤツ━━帝がいる。前回は逃走を認めたが、今回はもう許さん。今度こそ私が、ヤツの首を斬る。

━━各員戦闘準備を‼」

将軍のこの言葉で、その場にいた全員に緊張が走った。


島津先生が、すぐさま車を回す。(この人、いつも運転係なのね。)

窓から顔を出した先生は、将軍に苦言を呈す。

「まったく・・・・・・後に禍根残すことをしやがって。

いいか、俺はお前の行動を止めはしないが、絶対に無茶だけはするんじゃないぞ。」

すでに、敵兵2万に6名で突入するのだから、相当無茶なのだが。

将軍は快活に答える。

「もちろん、島津殿にご心配はお掛けしませぬよ。」

「・・・・・・ったく。おら、さっさと乗れ‼」

私達が車に乗り込む。

全員が乗ったのを確認すると、先生は突然車を急発進、一気に加速する。

ちょ、スピードスピード‼

将軍は肩を竦める。

「まったくこの人は・・・・・・口ではああ言いながらも、いつも私達のことを気にかけてくださる。」

だったら今すぐ昌平坂に引き返してほしい。


2時間後。

爆速で車が進行したことになり、早くも試衛館の麓まで辿りついていた。

尚。

東京から京都までは、約450kmある。

それを二時間で走りきったということは・・・・・・時速225km⁉

まったく、危険運転なんてもんではない。

なお、数十年後、とある猫カフェの主人は、時速3000kmで進撃したらしいが、それはまた別の話である。(私は何を言っているんだ?)

さて、敵二万の兵を相手取る、秀光さんと掃除くんが車を降りる。

将軍が激励する。

「それでは秀光、よろしく頼むぞ。」

「ええ、上様の御心のままに。沖田殿も、援護お願いしますね━━━まあ、万が一にも私が敵を取り逃がした場合、の話ですけど。」

秀光さんの言葉に、掃除くんが身震いする。

・・・・・・ほんとにどれだけ怖い思いしたんだよ。

二人を降ろすと、また車はその場を走り去る。


試衛館を取り囲むように迫る長州と薩摩2万の兵。その正面に、明智と沖田が降り立つ。

さすがに急な舞い降り方だったからか、沖田はやや気分が悪そうな顔をしている。しかし、明智は何も気にしない。

「誰だお前ら‼」

「ここをどこと心得ての狼藉か!」

最前線の兵達から、罵声が浴びせられる。

その言葉に沖田は憤慨する。

狼藉はむしろお前達だろ!と。

一方、明智は何もなかったかのように聞き流し、刀を構える。

「さて沖田殿、準備はいいですか?

━━まあ、この小説の展開上我々の敗北はあり得ませんので。気楽にいきましょう。」

とんでもないメタ発言に、沖田は身震いをする。

バカにされたと勘違いした敵兵達が、ついに軍配をあげた。

「皆の者、かかれーーー‼」

全兵が、二人に向って迫る。

それを見た明智が━━ニヤリと笑った。

【時は今 雨が下しる 五月哉】


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