クリスマスの夜には
拙い文章ですが読んでいただけたら幸いです。
しとしとと雪が降り積もる。辺りは真っ白で、俗に言うホワイトクリスマスだ。ま、俺には関係ないけど。
すれ違う人大体がカップルで、目に毒だ。俺だって今頃は、、、。はっと我に返り、肩にかけていたトートバッグの持ちてをぎゅっと握りしめた。何でこんなことになるんだ、今となっては後悔しかない。恋人と過ごすクリスマスをずっと心待ちにしていたのに、プレゼントも用意していたのにクリスマス当日には渡す相手がいなくなってしまった。はぁ、と吐いたため息は白くなってきえる。
キラキラと光を放つイルミネーションがある通りを歩いていると、余計に虚しくなる。アイツと見る予定だったのにな。そうぼんやりと思いながらとぼとぼとあるっていると、ケーキ屋さんが目に入った。時間も遅かったためケーキ屋に並ぶ客は少ない。色んな意味でクタクタだった駿は早く帰って風呂にも入らずベットで寝ようと考えていたが、ケーキを買うことにした。いちごのショートケーキあいつ喜ぶかな、っていないのに買っちゃったよ。
ケーキを買った駿は帰ろうとしているのに、K0Cが目に入ってしまった。あそこのチキンはあいつが好きなやつだ、そう思ったらいつの間にか買っていた駿は自分の行動に呆れながら帰路につく。
一人暮らしをしているアパートにつき、エレベータに乗る。はぁ、馬鹿みたいに買い物しちゃったよ。とてもバイト帰りとは思えない大荷物を抱え直し、エレベーターから降りる。
「え、」
駿の部屋の前に黒髪の男が寒そうに震えながら突っ立っていた。駿に気づいた男は気まずそうに、
「メリークリスまーす。」
と、視線を泳がせながら手に持っていた袋を差し出す。
「メリークリスマス言ってる場合じゃないだろ、部屋は入れ!」
男が震えていることが気になりすぎてクリスマスどころではない。風呂沸かしてやらなきゃ、その前に早く部屋温めないと。部屋にグイグイと連れ込んでから、男をコタツに連行し、近くにストーブをおいてやる。そしてから、お風呂のスイッチを押て、お湯を沸かしてココアを入れてやる。
「温まったか?」
「うん、ありがと」
会話が終了して気まずい空気が流れる。
「そういや、何渡そうとしてたんだよ」
先に折れたのは駿だった。
「これ」
渡されたものの中を見ると、ホールのケーキとチキン、そして何やらプレゼントらしきもの。
「なんだよこれ。」
「……クリスマス、やっぱり一緒に過ごしたくて」
バツが悪そうに、男は顔をそっぽ向ける。
「俺には会わないって言ってたじゃん。」
「…………やっぱり会いたくなったんだ。駿に」
胸がぽかぽかする。
「お、おれも」
理玖と過ごしたかった
消えそうな声で呟いてから、恥ずかしくなり買ってきたものをテーブルの上に並べ、買っておいた男へのプレゼントを渡す。
「これって」
目を見開かせて驚いてから、とろけるような眼差しを駿に送る。
「駿、愛してるよ」
唐突な愛の言葉に顔を赤くしてうつむいた。
「………おれも、あい、し、てる」
口にする愛の言葉は小さくて消えてしまいそうなのに、理玖は愛おしむ瞳で見つめてくる。
「うわっ」
急にぎゅっと大きな体に抱きつかれバランスを崩しそうになったが、理玖に抱き止められた。温かい体温が心地よくて、今なら言える気がした。
「………理玖と過ごすって言ってたのにバイトになってごめん」
「いいや、インフルのやつのシフト代わってあげただけなんだから駿は悪くないよ、拗ねてごめん。」
顔を見合わせ、笑い合い、仲直りのキスをする。
そのまま押し倒そうとする理久に待ったをかけ、せっかく買ったクリスマスケーキを2ホールとそれぞれ買ってきたチキンを出し机に並べた。
「これ食べてからにしよう」
「そうだね。楽しみは後だよね」
しとしと雪が降り積もり寒くなる中、幸せな温かい空間を過ごすのだった。