9月13日 京都西高校戦(歓喜)
なんとなく意味が理解できた。私は、英語の問題を解き終え、机にうつ伏せた。そこには、ただの暗闇しか待ち受けていなかった。
ー8月31日ー
しゃっあ!!!!!右腕を大きく下から突き上げ満面の笑みを浮かべている。ベンチからみんながやって来る。そこに、中沢、辰巳たちが近寄る。みんなに頭を叩かれながら歓喜の輪の中にいた。怪我をして出れなかったはずの沢田だったのに、あっという間にゴールを決めてしまうのだから。文句のつけようがなかった。歓喜の輪の中には、先ほどまでペナルティエリアにいた唐沢、ディフェンス陣の野木、原田、相田、富山。そして、ゴールキーパーの川上だけ来ていた。ベンチまで来ていなかったのは、問題児である工藤や宝来だけだった。彼らは、ピッチ内をゆっくり歩いていた。相変わらずといえば相変わらず。けど、これがサッカー部なのかもしれない。野球部とは違った良さがある。群れを嫌い己を貫く強さ。
永谷「ないすー!!」
橘 「あと1点だぞ」
私たちより前にいき、大きな声を上げる。沢田は、私たちの方を見て、右手を挙げていた。鮮やかにゴールを決めた沢田はカッコよすぎて周りの女子は釘付けだった。西野や藤岡たちはキャーキャーと声を出している。あの右手は誰かに向けてやったのだろうか。私はそれが気になった。審判のホイッスルとともに沢田たちが戻っていく。
寺崎「凄いね」
私 「ホントだね」
寺崎「ああいう時に決めるのがスターなんだろうな」
美桜の言う通り。普通の人間は、途中出場してこんなにすぐ点を決めれない。スタジアムの雰囲気も一気に変わる。さっきまで完全に京都西高校のペースだったが、今は聖徳高校の流れに変わっている。これで、あと1点。これでわからなくなる。時間は、後半20分が過ぎようとしていた。
西野「もう一回応援しないと」
寺崎「そうだね」
私たちは、もう一度応援する気持ちに変わっていた。ピッチにいるみんなは、どんな気持ちなのだろうか?沢田がゴールしたにもかかわらず、近寄って来なかった工藤や宝来は相変わらずのマイペースぶりだった。おそらく、あそこでゴールを奪われたのが相当気に食わなかったのだろう。点をとったのに、全然喜んでいない。
私 「そう言えば、新谷とかどこいるの?」
寺崎「たしかに、見ないね」
辺りを見渡したが、彼女らしき人はいなかった。




