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9月11日 京都西高校戦(交代)

 新しいことを始める時、大抵邪魔をするのは自分自身だ。自分が変われば、新しいことにもチャレンジできる。失敗も怖くない。でも、今と一緒では何も変われない。それだけは、アイツらと会って理解したのだった。


 ー8月31日ー


 美桜は、定本たちを連れて戻って来たようだ。相変わらず、新谷たちは来てないみたいだけど。ピッチに立っているみんなは頑張っていたが、点はとれていない。一方、こっちのスタンドは少しずつ熱を帯びてきた。 


 寺崎「沢田そろそろでるんじゃない?」

 私 「そうだね」


 美桜の言うように、沢田の真剣な表情が見える。ピッチにいるみんなも沢田が来るのを待っているに違いない。ピッチ上では、一進一退の攻防が続いていた。


 寺崎「もうちょっとなのになー」


 宝来のシュートは惜しくもポストの上を通過してしまった。


 私 「まぁ、ここからじゃない」

 寺崎「わかるの?」

 私 「なんか点数が動きそうな予感がしてね」


 "パッパッパッパパ、パパパパパパ。パッパッパッパパ、パパパパパパ。聖徳パラダイス!!!"定本のメガホン越しの大きな声に私たちは心が揺らいだ。いつの間にか、私の体は動いていた。両手に持っていたメガホンを叩きながら、回ったりジャンプしたり。冷静になれば何してるんだろうと思うけど、何かに取り憑かれたように動き回っていた。思い返せば、中学生の頃から先輩たちの代でも試合に出ることが当たり前だった私は、これまでちゃんとした応援をしてきたことがなかったんじゃないだろうか?定本たちのように必死に応援することがいかに尊いか理解することができた。


 寺崎「あっ、来たんじゃない?」


 ピッチの審判は試合を止め、沢田と井沢の交代を示唆する。私たちスタンドからは沢田を待っていたと言わんばかりの大きな声が聞こえてくる。


 私 「ここからどうなると思う?」

 寺崎「そりゃあ、逆転してくれるんじゃない?」

 西野「フォーメーション変わったね」


 西野はサッカーが詳しいようで、沢田が入ったことでこれまでとポジションが変わることを教えてくれた。ピッチから戻って来た井沢は、沢田に何かを呟きハイタッチをした。逆にピッチへと立った沢田はダッシュし、唐沢の方に向かった。どのようにフォーメーションがかわるのだろうか?後半10分が経過。私は、試合が再び始まるのを静かに見守っていた。

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