7月7日 二回戦
今日は、部活動が休みということもあり、朝からベットでゴロゴロしていた。目が覚めたのは、7時。しかし、昨日の部活動のことを思い出すと、いろいろ考えてしまった、
昨日、監督とは、今の現状について話し合った。監督も私と同様のことを考えていた。公式戦の連敗が続いているチームをなんとか変えなければならない。しかし、その方法が見つからない。監督からは、2年生を起用することを、提案された。しかし、次の大会で3年生は、最後となる。負けたらら即引退という状況である。監督は、起用方法に関して、キャプテンの私に一任することを告げた。どちらをとっても大きな決断になることが想定される。
理想は、3年生で試合に出ること。ただ、このままでは、負ける。勝つために、2年生を起用するのか。それとも‥‥。頭でそんなことをずっと考えててしまうのだった。
2年生には、新チームのキャプテン候補である柳本や急成長している岩田がいる。これからの伸びしろという点も大きい。3年生は、経験値というものでしか上回ることが難しいのだった。
ー1年前ー
球技大会のバスケットボールは、ベスト4をかけた2回戦が始まろうとしていた。相手は、一年五組だ。一年五組には、岩田、佐竹、川島がいる。岩田は、バスケ部の後輩。ポジションは、スモールフォワードだ。
試合が始まった。私から、パスを受け取った颯希がドリブルをする。颯希から、私へとボールが渡る。目の前には、川島がいる。右足を一歩前に踏み込んでから、左方向へ後ろに一回転する。右へドリブルすると思った川島は、唖然としていた。そのままゴールを目指す。
そして、3ポイントラインから、私は、シュートを放った。ボールはそのままネットの中に入り、先制点となった。その後も、颯希と七海が1点ずつとり、7分が経って、5対0と二年生チームがリードしていた。
一年生チームも攻めるが、なかなか得点が入らない。チームを引っ張っていた岩田は、少し俯きかげんだった。岩田耶世唯は、一年生のバスケ部の中でも物静かな性格だ。特別上手いわけではないが、1on1の時に当たり負けしないという強さがある。ミスも少なく、確実に得点を決めてくれる。
一年生が入ってきた当初、私は、最も気にかけていた選手が岩田だった。私は、先輩という立場上、岩田を特別扱いすることはできなかった。しかし、岩田が内心このバスケ部でやっていけるのか心配していた。特に、コミュニケーションをとるのが苦手で、練習中も彼女から声を聞く機会は少なかった。
そんな岩田も、練習を重ねるうちに、少しずつ周りの選手とコミュニケーションをとれるようになっていき、試合にも出れるようになった。
ボールをもった岩田は、七海を鮮やかにドリブルで抜いた。ハーフラインを超えたあたりで、私と1on1になった。これまでも、練習で岩田と1on1になることは多かった。
しかし、私が負けることは、なかった。岩田は、どちらの足に重心がいく癖があり、フェイントをいれて反対方向へドリブルすると、ほとんどかいくぐれていた。
この日もそうなった。岩田がドリブルで交わそうとした際、私が、右手をだしボールをカットした。
私は、カットしたボールを拾い、颯希にパスをだす。颯希は少し前に進み、七海にパスを出した。パスをもらった七海がそのままゴールネットを揺らした。
最後は、私が3ポイントを決め、10対2で私たちの勝利となった。少し疲れた表情を見せた岩田が私のところにやってきた。
岩田「ありがとうございました」
私 「こちらこそ」
岩田「真波さんだけでなくて、二人も凄かったので、全然でした」
私 「岩田も上手くなったね」
岩田「いえいえ。真波さんのようにもっと視野を広げて、バスケをできるようにしたいです」
私 「そうだね、また放課後の練習も一緒に頑張ろ」
岩田「はい」
岩田は、一年生の仲間のところにもどっていった。
2回戦も圧倒的な試合運びで勝利することができた。それにしても、颯希と七海の働きぶりは凄かった。特に、七海は、二試合で10得点もあげていた。
いろいよ、決勝進出をかけた試合が始まる。準決勝の相手は、私の友だちであった田中優衣がいる、二年二組だ。明日花のことでいろいろあり、少し複雑な気持ちで準決勝の舞台にたったのだった。