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8月27日 怪我

 いよいよ今日から本格的に体育祭の練習が始まった。入場行進の時に横だった私と沢田は、話しこんでいた。


 私 「足痛いの?」

 沢田「いや、今は大丈夫」


 足を抑えながら、何かを考えているみたいだった。


 私 「でも、気になるんだ?」

 沢田「もうすぐサッカーの試合もあるからな」

 私 「サッカー部だけだよね。勝ち進んだの」  


 聖徳高校にもたくさんの部活があるけど、まだ部活をしていたのはサッカー部だけだった。サッカー部は、夏の県大会で見事優勝した。中沢が言うには、5試合で12得点と攻撃力が凄いらしい。


 沢田「そうみたいだな」

 私 「頑張ってよ」

 沢田「みんな、"聖淮戦"に負けてから強くなったんだよ」

 私 「そうなんだ」


 聖淮戦では、4対3で負けてしまい、とても重苦しい雰囲気だった。あそこから、よく立て直したなと思っていた。私たち、バスケ部とは大きく違っていた。


 沢田「だから、今は怪我したくないんだ」

 私 「そりゃあそうだよね。宝来くんと工藤くんは?」


 ヤンチャな彼らは、ちゃんと練習に行っているのだろうか?いつも彼らがサッカー部を乱していることを中沢から聞いていた。


 沢田「相変わらずだけど、ちゃんと練習来るようになってよかったよ」

 私 「そうなの。それは、よかった」


 ちゃんと来ているだけで私は安心した。


 沢田「アイツらに勝たせないとさ」

 私 「優しいね」


 沢田は、なぜそんなことを言えるのか。さすがキャプテン。私とは違う。


 沢田「まぁ、俺たちも苦労したからね」 

 私 「沢田くんがいるからモメるんでしょ?」


 大体のことは、彼が問題から始まることがほとんどだ。サッカー部は、宝来や工藤がフューチャーされるけど、実際のところは沢田があまりにもサッカーのセンスがあることが問題なのだ。


 沢田「なんで、そうなるんだよ」

 私 「だって、中沢くんとか辰巳くん大変そうでしょ」


 私たちのクラスは、いつもサッカー部の溜まり場だった。中沢、辰巳のもとに、唐沢や相田たちがよく来ているのは知っていた。


 沢田「そんなことない。アイツらは、俺について行くのが楽しいんだよ」

 私 「どんな自信なのよ」


 沢田たち、サッカー部の最後をどこか見守りたい気持ちになっていた。

 

 私 「次はいつ?」

 沢田「8月31日」


 確認して、空いていたら見にいこうと思っていた。

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