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8月16日 緑黄色会社

 有美の彼女は、古屋南朋という人物だった。彼は、同じ高校3年生にして、ベンチャー企業の創業メンバーだった。古屋がいるのは、緑黄色会社。山城、三田、中野、そして古屋の四人で設立した会社らしい。山城と三田が東京で、中野と古屋が千葉に在学中らしい。古屋の話を聞いていると、とても面白かった。上手くサービスがいかなくて、何度も取り引き先や先方に注意されてばかりだそうだ。

 今年の4、5、6月はトラブル続きだったとか。特に広告会社には断られまくったそうだ。その中で一つだけ支援してくれる会社が見つかり、そこのおかげでなんとか倒産を免れたそうだ。どうやら、起業というのは上手くいかないのがほとんどらしい。起業してから10年続く会社は、約6%だとか。そして、20年になると、1%にも満たないとか。じゃあ、残りの9割の会社は何をしているんだという話だ。

 私は、まだまだ社会のことを何も知らないから、倒産した後どうなるとか会社自体がどんなものかよくわからない。でも、古屋の話を聞いていると少しずつ興味が湧いたというのも事実だった。起業かぁ。私の選択には、まったくないな。古屋の様に起業したいとか働きたいという思いが出たわけではないけど、そういう選択肢もあるんだと学べただけでも大きな収穫だった。

 その中で、古屋は苦戦しながら、めげずにやっていて、少しずつ結果が出始めてきたばかりだ。そんな古屋を健気に応援する有美が愛おしかった。これからも二人の関係性が続くといいのになと勝手に思っていた。私と古屋が話している時も、優しい視線を古屋の方に送っていて、それがなんとも言えずに可愛かった。こういう彼女もいいなと思った。

 八幡は、古屋とは少し違うタイプだから、有美みたいにはなれない。八幡は八幡で違ういいところがあるからいいんだけど、たまには違うカップルを見るのも勉強になる。まだ、進路のことは八幡に言っていない。いつかは言わないといけないけど、おそらくそらは別れの時だろう。私は、そう考えていた。これ以上は考えない様にしていた。考えると、いろいろ苦しくなってしまう。

 それにしても、とてもいい時間だった。有美は、もう少し古屋と一緒にいるため、一足先に帰ることにしたのだ。向こうから手を振ってくれる有美と古屋を見ながら、私は電車に乗りこんだ。千葉の旅もそろそろ終わりに近づいてきた。色んな意味で、収穫の多い旅となったのだ。

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