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8月13日 選択

 一昨日から寝込んでいたこもあり、体調は万全だった。私は、朝から散歩に出かけていた。千葉の朝は、長野の朝とは少し違うみたいだった。横にいた有美は、とても笑顔だった。

 私たちは、昨日からずっと話をしていた。ゆっくり歩いていくと街並みが変わっていく。千葉だからもっと都会かと思うけど、意外とそうでもない。所々、田んぼが見えてお米が植えられているみたいだった。


 高良「楽しんでる?」

 私 「まぁ、ぼちぼちかな」


 今日から、外出の許可が出ていた。


 高良「迷ってるの?」

 私 「何が?」


 高良は、とても笑顔だった。私が新しい何かをずっと求めているのを理解しているみたいだった。


 高良「昨日、言ってた大学だよ」

 私 「あー。それね。迷ってないよ。覚悟は決めてるよ」


 もう進路のことは散々言われたし、ある程度、決めていた。


 高良「じゃあ、後は親だけ?」

 私 「他にも言ってない人はいるけど」


 友だちだと、颯希や七海以外は、全員言っていない。周りの大人で言っている人は、家の近くにいるおばさんだけだ。


 高良「そっかぁ」

 私 「有美は?どうするの?」


 有美も私と同じで、大学には行かない。最初は、聞いて驚いた。しかし、彼女の意思は、とても硬かった。ちょっとやちょっとで動かなかった。


 高良「私は、言わないかな」

 私 「でも、バレるんじゃないの?」


 有美は、言わない。私と同じ選択をとるのか。


 高良「うん。でも、その時まで黙っとくよ」


 バレるまで待つなんて、私には勇気がない。私は、10月から12月のどこかで親に言おうと思っていた。でも、どうすれば理解してもらえるかという手立てが今はなかった。


 私 「えー。もったいないな」

 高良「そう?」


 有美は、そんなことを1ミリたりとも思っていないみたいだった。


 私 「有美みたいに賢かったら、いけるところたくさんあるのに」

 高良「行きたくないのに行ってもしょうがないでしょ」


 その通りだ。私も有美と同じ考えだ。ただ、自分の周りの人の意見を無視することは簡単にできない。


 私 「すぐ判断できるのはすごいね」

 高良「いや、いや。真波だって行かないんでしょ?一緒じゃない」

 

 選択は同じかもしれないけど、そこまでの過程は全然違う。


 私 「どうだろうね」

 

 私たちは、1時間歩いて実家に戻ってきた。

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