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8月10日 帰省

 いよいよ今年もお盆の季節がやってきた。真夏の燦々とした太陽が外を明るく照らす。明日から、私たちは、千葉に行くことになっていた。千葉には、私のおばあちゃんの家がある。高校3年間は、部活が忙しくなかなか行けてなかったから、今年は行くことにしたのだった。

 別に行きたいわけでもないし、楽しみにしているわけでもない。ただ、こういうのは行っとかないといけないということは知っていた。これは、私が高校生活で学んだことだった。みんながチヤホヤしてくれるのは嬉しいけど、それで調子に乗ったらいけないし、そんな人にはならないような見本が近くにいた。

 それが、颯希と七海だった。颯希は、元気で真っ直ぐ。曲がったことが嫌いな性格。だからこそ、クラスのヤンチャな子たちにも、きちんと意見を言っていたのだ。あれは、たしか2年の時。当時、同じクラスだった不和という女の子が辰巳たちにからかわれた時、きちんと辰巳に注意していたのを覚えていた。別に、注意しなくてもと思っていたけど、不和にとっては嬉しかっただろう。

 それは、七海にも言える。七海は、クールキャラだが、誰が相手でも物おじしない。私が驚いたのは2年の時。当時の担任に対しても、納得がいかないことに対して、徹底的に話し合っていた。

 当時から、そんな2人を間近で見てきたから、今のままだとダメだとずっと思っていた。どうすれば、2人見たいになれるか?当然、勉強や部活動という二つだけではなかった。もっと言葉では表せないような抽象的な何か。でも、どうしたらそうした力が身につくのか私にはわからなかった。

 私は、二人のことを考えながらクローゼットから服を取り出し始めた。明日から、千葉に行くために必要な服を吟味する。暑そうだから、黒は嫌だな。クローゼットから出した黒のTシャツをしまった。千葉には、4泊するから、最低でも4枚の服はいる。私は、自分が着たい服がなかなか見つからなかった。

 それくらい、服を買ってもらっているという証拠でもあった。私の親は、私が可愛くて仕方がない。だからこそ、なんでも与えてくれるし、期待も高い。でも、そんな親の期待に応えるのも息苦しくなっていた。それは、親が嫌いとかそういう話ではない。もっと自由に、もっと伸び伸びと生活したいと思っていたのだ。着たい服が見つからなかったから、一旦、服を探すのは諦めて、勉強道具やタブレットなどを準備することにした。

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