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8月9日 八幡修也

 外の気温と比べて、この部屋の気温はとても涼しかった。今日は、昼からカフェに来て、スマホをいじりながらこれからのことを考えていた。家にはいづらい雰囲気。どこかでサボるとなったら、カフェがいちばん良かった。昨日、連絡がきていた修に返信をしていたのだった。

 そう言えば、この前の最上の恋愛トークは、なかなか終わらなかった。約3時間くらい話をしていた気がする。どうやら、最上の彼氏である藤森は、とても忙しいみたいだった。一応、私も付き合ってるけど、そこら辺の高校生よりは、恋愛してる感覚はなかった。

 最上は、周りにいる尾藤や陽菜乃のことと比較しながら話してくれた。二人がどんな恋愛をしているのかはわからないけど、羨ましいとは思わなかった。ある意味、私は、恋愛に興味がなくなっているんじゃいかと勝手に思っていた。

 たしかに、周りと自分を比べて寂しさを感じたり、上手くいっていないと思うんだろうな。私は、そんな最上の気持ちをずっと聞いていた。ずっと、最上は、不安を抱えているみたいだ。おそらく、付き合っている藤森の不満や愚痴を誰かに聞いてもらいたいと思っていると察した私は、時間はかかるけどコーヒーを片手に頷いていた。

 不満や愚痴を話した最上は、イライラがおさまり、落ち着いた様子で家に帰っていったみたいだった。話をずっと聞くのは疲れたけど、最上が少しでも落ち着けたりしたのであればそれはよかったのかなとも思っていた。私も、もっと恋愛を頑張った方がいいのかな?

 私の中で、修は「好き」というより「応援したい」という「推し」の存在に近かったのだ。修は、高校入学直後から、ずっと早く試合に出たいと意気込んでいた。2年夏、ベンチ入りが確実だった修が、まさかのベンチ外に。初めて、私の前で大粒の涙を見せたのだった。

 修は、同じ野球部の主力である、橋本や橘とは違った努力で成り上がった人。毎日、登校に1時間かけて自転車で来ていた。しかも、朝練はほとんど来ていたらしい。センスでなり上がった橋本や橘たちにも思うところがたくさんあったと思う。それでも、夏大会負けるまで最後まで努力を続けていたのはとてもすごかった。

 私は、あまり見れなかったけど、"聖淮戦"の修は、相当なものだったらしい。修を知らなかった2年の女子たちがファンになるくらいだとか。これからも、彼の人生を応援したい。それが、私の切実な想いだった。

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