8月6日 損得
親の期待に応えるのも一苦労だ。昨日、お母さんと話をしていて思った。大学に進まないと言ったら、なんて言われるだろうか?別に言われるのは嫌じゃないけど、めんどくさい。ただでさえ、学校の先生やクラスの人からも聞かれるのに。これ以上となると。
クラスのことを考えていると、那奈のことが思い浮かんできた。今は、どこにいるのだろうか?話だけ聞いていると、どうやら長野県にはいなさそうだ。噂だけだと、病院にいるという説もあった。
私は、自由に生きている那奈が羨ましく感じた。彼女が今、どこで、何をしているのかはまったくわからない。それでも、毎日楽しそうに生きている彼女は、自慢の生き方だった。彼女は、誰に対しても分け隔てなく関われる。あんなのは、生まれもった才能に違いないとすら思っていた。
なんでもできる私が唯一羨ましいと思ったのが、那奈だった。那奈は、嫌な表情を見せないから、周りに人がよってくる。クラスの陰キャにも自分から話しかけているし。男子だと、世田。女子だと蒼井。あのクラスに話しかけるのは那奈とかだと付き合っても損でしかない気がしていた。
那奈は、そういう損得感情で動かない子なんだろうなと思っていた。世田は、クラスの1.2を争う陰キャだ。部活にも入っていないし、友達らしき人もいない。毎日毎日、本を読んだばかりの人生だった。別に、陰キャでもいいし本を読んでばかりでもいい。ただ、何も動かないでずっと待っている感じが好きじゃなかった。
一方、蒼井は、山川や新谷といることでしか自分を表現することができないのが嫌いだった。たしかに、山川や新谷と仲良くないというのもある。しかし、それ以上に、そんな二人に守られているのがもっと納得いかなかった。そんな守られていて嬉しいのか?疑問に思う。
学校では、一応BIG3という謎の立ち位置もあるし、簡単に揉め事とかできる状況じゃなかった。でも、いつかそういう問題を起こしてみたいという変な気持ちを考えてしまう自分がいた。これまで、ずっと抑えていた自分の感情が爆発しそうになっていた。
今は、夏休みだから仕方ないけど、この感情のまま学校行ったらなんか起きそうな気がしていた。別に、学校で相当ストレスが溜まっているというわけではないけど、自分の感情や想いをうまく吐き出せないのが憂鬱だった。颯希や七海も、もう勉強に専念してるし、私なんかにかまってる時間なんてなかった。




