表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/80

8月3日 パサー

 私たちは、前へと歩き始めた。しかし、なかなか前へと進まない。それもそうか、こんな大行列だったら。私は、諦めて別のトイレを探し始めた。コンビニの近くにあったトイレを借りることにしたのだった。


 ー7月27日ー


 試合は、聖徳高校の怒涛の追い上げで後半12分終了し、32対36と4点差まできたのだ。いける!!私たちの中で、そんな思いが募っていた。私たちにきた流れを断ち切るように、江陵高校エース柳川は、タイムをとった。

 すると、選手後退が告げられた。ベンチからやってきたのは、ベリーショートの髪の毛をした女の子だった。どこかで、見たことがある。誰だ?私の近くにいた大野が話しかけてきた。


 大野「真波!!」

 私 「ん?」


 ストレッチをしながら、大野の話を聞いていた。


 大野「あの子、知ってる?」

 私 「いや、わかんない」


 みんなとハイタッチをしている女の子を見つめた。


 大野「知らないの?あの子、全中MVPの子だよ」


 全中のMVP?


 私 「なんで、そんな子がいるの?」


 身長は、約160cmくらいだろうか?


 大野「知らないけど、おそらく野村って子だよ」

 私 「野村さんねぇ」


 監督が、私を呼んだ。私は、慌てて走りに行った。


 監督「あいつは、パサーだ」

 私 「そうなんですか?」


 パサーとは、周りの選手にパスを出して活躍する役割だ。


 監督「そうだ。だから、アイツにパスを回されるとやっかいだぞ」


 たしかに、この点差まで縮んだのに、これ以上、離されるとキツい。


 私 「わかりました。でも、なんで、レギュラーで出てないんですか?」


 ふと疑問が浮かぶ。


 監督「ケガじゃないのか?それか、いなくても勝てると思われていたか?」

 私 「フフフ。わかりました」


 何が面白いのか自分でもわからないが、どこかワクワクしている自分がいたのは事実だった。彼女の登場で、この後の試合展開が全くよめなくなった。柳川、山根に加えて、三人目の有名選手。まずは、パスを回されないようにチームメイトに声をかけた。

 試合再開の合図が鳴り響いた。ボールは、さっそく、山根から野村へと回っていく。野村は、パスを出さない。ずっと、ドリブルをしてゴール前へと進んでいく。ドリブルで選手を抜いていくと、大きな歓声があがる。全然聞いていたパサーと違う。なんだこれは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ