7月31日 喜早柚月
あの日、柚月先輩が伝えたかったことは、何だったんだろうか?
ー7月28日ー
私 「‥‥‥」
柚月先輩の発言に対して何も言えなかった。
柚月「こっからだから、諦めないよ」
私 「はい、、、」
やはり、彼女の言葉は重くのしかかる。
柚月「期待してるぞ、キャプテン!!」
そう言って、柚月は、外に出て行った。やはり、柚月先輩は、不思議な人だ。何しに外に行ったのかはわからないが、私は、一人コートで、頭を抱えながら、天を仰いだ。得点ボードを見ながら、何が出来ないだろうか?と考え出した。"真波!!"また、誰かが私の名前を呼んでいる。誰だ。横を見ると、副キャプテンの大野が立っていた。
私 「あー、大野かぁ」
大野「なんだよ、それー」
さっきまでの試合とは違い、どこかリラックスした様子だった。休憩中に切り替えることができていたのかもしれない。
私 「んーん。なんでもない。さっき、柚月先輩来てたよ」
大野「えー。会いたい。どこいるの?」
大野は、柚月先輩にずっと憧れとしてきた。私とは、少し違う感じだ。私は、憧れというより目標だった。ずっと彼女を超えるために頑張ってきたのだ。
私 「さっき、出て行ったよ」
大野「真波は、話したの?」
私は、タオルをとった。
私 「少しだけね」
大野「いいなぁ。なんて言ってたの?」
そんなのどうでもいいけどなぁ。
私 「まだ、諦める点差じゃないって」
大野「相変わらず、スパルタだね」
大野のいう通りだ。昨年の練習は、相当キツかった覚えがあった。
私 「大野!」
大野「ん?」
とったタオルを畳む。
私 「次から、ポジション変えるわ」
大野「えっ?どういうこと?」
キョトンとした表情をしていた。
私 「私、後ろに行くよ」
大野「後ろってどこ?」
私 「ガード」
今のポジションでは、絶対、私にパスは通らない。だったら、私がボールをもらえる位置に行くしかない。しかし、ゴールまでは遠くなる。今までと同じことをしても同じことしか起きない。昔、柚月先輩に教えてもらったことだ。
大野「ホント?」
私 「うん。その方がボールとられないし」
大野「真波が決めたら、どうせ変えられないしね」
私は、屈伸運動を始めた。
私 「なによ、それ」
大野「ハハハハ」
私たちの後半の作戦は決まった。あとは、決行するだけとなった。




