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7月30日 28点差

 今日も夏の暑さが続いていく。なんとか、自転車で図書館までたどり着いた。今日も勉強が始まろうとしていた。


 ー7月27日ー


 試合が再開しても、私たちにチャンスが訪れることはなかった。そして、ゆっくりしている合間に、ブザーが鳴り響いた。結局、前半20分が終了して、0対28。ほぼ、負けが確定してしまったのだ。

 みんな下を向きながら、ベンチへと引き返す。仕方がないし、当然の結果と言えばそれまでだ。私は、唇を噛み締めながら、ベンチへと座り込んだ。みんな、ベンチ裏へと帰っていく中、私は、コートを見つめていた。

 これでいいのだろうか?自問自答が続く。1年前は、柚月先輩がずっとチームを引っ張ってくれていた。でも、今はどうだろうか。本来キャプテンである私が引っ張らないといけないのに何もできていない。この現状が悔しかった。

 私は、横に置いていたドリンクに口を当てた。ドリンクを置いて、声に耳を傾けた。"真波"。どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえる。前を見ても、横を見ても見当たらない。私は、まさかと思い、声が聞こえる方とは異なる後ろを振り返った。当然、誰もいなかった。私の聞き間違いだろうか?私も疲れてるしな。

 再び、ドリンクを口に当てようとした時、また声が聞こえた。"真波、こっちこっち"。声は横からだ。横を振り向いたが、そこには誰もいない。"もっと上だよ"。私は、声の主の指示通り、目線を上げていく。そこには、手を振っている女の子がいたのだ。

 髪の毛は、ショートで、色は茶色に染まっていた。あっ、、、、。柚月先輩だ。喜早柚月。さっき考えていた人だ。


 柚月「元気?」


 手を振りながら、話してくるのは、あの日の柚月先輩そのままだった。


 私 「いや、元気じゃないですよ」

 柚月「そうなの?元気出さないと」


 体育館2階にある手すりを持ちながら、私を見つめる。手すりの下には、横断幕で"全員バスケ"と書かれていた。これは、5年前に作った横断幕らしい。全員でバスケをするという言葉そのものだったとか。


 私 「スコア見てくださいよ。元気出せる点数じゃないですよ」

 柚月「そうかな?」


 私は、スコアボードを指差した。


 私 「そうですよ」

 柚月「たった、こんな点数であきらめるの?」


 一瞬、柚月先輩のスイッチが入ったような気がした。

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