7月29日 ワンサイドゲーム
今日は、真夏の気温だ。ただ、ここは、クーラーが効いたとても過ごしやすい場所だった。
ー7月27日ー
試合は、ワンサイドゲームになってきた。江陵高校のエース柳川と司令塔山根のコンビネーションで、私たちから次々と点をとっていく。まだ、開始10分というのに、既に20得点。私たちは、なすすべがなかった。
明らかに、私以外の選手は、動揺していた。勝つ術を探そうとするものの、なかなかボールが回ってこない。こんなのでは勝つことができない。徹底的にマークされていて、私には、ボールが回ってこない。これが、名門校かぁ。隙のないバスケがこれだけできたら、強いよな。
ただただ、選手を見ているのがつらかった。再び、ボールは、江陵高校に回った。山根は、前に動くよう指示を出す。そして、それに沿うように選手たちも走り出す。私のマークが一枚外れたが、もう一枚は、まだ、私についている。何か策がないのか?再び、柳川は、ゴールを決めて大歓声が湧き上がった。すると、審判がタイムををかけた。約2分だ。
監督「おいおい、大丈夫か?」
タオルで汗を拭きながら、周りの選手を見渡す。みんな、しんどそうで、監督の指示を聞いている場合ではなかった。
監督「せっかく、これまで頑張ってきたのにこれで終わりか?」
その通りだ。ここで、負けるために3年間やってきたんじゃない。勝つためだ。でも、どうしたらいいかわからない。私は、後輩から受け取ったドリンクを口に入れた。
監督「まだまだやれるだろ。お前たちなら」
監督の必死のゲキが飛ぶ。私は、落ちてくる髪の毛を耳にかきあげ、得点ボードを見つめた。
監督「高田には、マークがついているから、大野中心にボールを回したいけ。そこに、高津と宮下が入れ」
そう。これが、本来の戦い方。でも、この戦い方だったら、勝てない気がした。まるで、この戦い方をするように仕組まれているかのような試合展開だ。でも、なんで、こうなってしまったのか?それは、私に二人マークがついているからか?もしかしたら、、、、。
監督「よっし。じゃあ、いくぞ!!」
そうだ。私のマークについてある1枚は、ダミーだ。そう考えればうまくいく気がする。2枚に見せかけた1枚でもう一人は、コートを動いている。
監督「しゃぁー!!」
監督は、大きな声を出した。まだ、開始18分。まだまだ、諦める時間ではない。前半が終わっても後半がある。




