7月21日 素直になれなくて
今日から、再び、練習が再開した。軽めの調整と言うこともあり、ランニングとシュート練習、そしてディフェンスの確認が主な練習メニューだった。普段は、やる気を見せない宮下や大山も真剣な顔をしている。次のスターティングメンバーに監督がどんなメンバーを選ぶのか私も楽しみだった。
次の対戦相手は、中西島高校。西農業高校と同じくらいのレベルだ。普通にやれば、問題なく勝てる。でも、ディフェンス陣たちが簡単にボールを取られるようであれば接戦になると思っていた。
ー7月20日ー
私と七海は、体育館に集まっていた。
七海が言いたかったのは、あの日の怪我のことだった。
私 「膝のこと?」
七海「うん」
七海は、ボールを持ちながら答えた。
私 「今でも、気にしてるの?」
七海「うーん。どうだろ。ハハハ」
愛想笑いをしながら、シュートを放った。素人にしては綺麗な孤を描いたシュートだ。
私 「後悔してることがあるの?」
七海の懐に入る。
七海「まぁ、走れる状態だったしね」
ゴールシュートから落ちてきたボールがバウンドする。
私 「七海って、私たちのこと憎んでるんじゃないの?」
思い切って、七海に質問した。ずっと、私が気になっていたことだった。
七海「えっ、、、。どういうこと?」
驚いた様子で私を見てきたが、本心はわかっている様子だった。
私 「ごまかさないでよ」
自分が驚くほど大きな声をだしていた。体育館に他の人がいないこともあるのか、私の声は響きわたっていた。
七海「ビックリしたぁ。ハハハ」
私は、七海を見つめた。
七海「私も、ホントにわからないよ」
私 「あの日、怪我したのは七海のせいじゃないでしょ」
七海「あっ、そういうことね」
七海は、さらりと私の言葉を返す。
七海「たしかに、走れなくなったのは悔しいけど。別に、真波たちのせいだなんて全く思ってないよ」
あの日、七海が怪我をしたのは私たちのせい。それは、誰が何て言おうと変わらない事実であった。
私 「あっ、そう」
がっかりした。私に気を遣うなんて、、、。私は、持っていたバスケットボールをワンバウンドで七海に返した。俯きながら、体育館から出て行った。なんで、七海は、素直に言ってくれなかったんだろう。素直に、私たちのせいだと言ってくれた方がまだ楽だ。




