表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/80

7月21日 素直になれなくて

 今日から、再び、練習が再開した。軽めの調整と言うこともあり、ランニングとシュート練習、そしてディフェンスの確認が主な練習メニューだった。普段は、やる気を見せない宮下や大山も真剣な顔をしている。次のスターティングメンバーに監督がどんなメンバーを選ぶのか私も楽しみだった。

 次の対戦相手は、中西島高校。西農業高校と同じくらいのレベルだ。普通にやれば、問題なく勝てる。でも、ディフェンス陣たちが簡単にボールを取られるようであれば接戦になると思っていた。


 ー7月20日ー


 私と七海は、体育館に集まっていた。

 七海が言いたかったのは、あの日の怪我のことだった。


 私 「膝のこと?」

 七海「うん」


 七海は、ボールを持ちながら答えた。


 私 「今でも、気にしてるの?」

 七海「うーん。どうだろ。ハハハ」


 愛想笑いをしながら、シュートを放った。素人にしては綺麗な孤を描いたシュートだ。

 

 私 「後悔してることがあるの?」


 七海の懐に入る。


 七海「まぁ、走れる状態だったしね」


 ゴールシュートから落ちてきたボールがバウンドする。


 私 「七海って、私たちのこと憎んでるんじゃないの?」


 思い切って、七海に質問した。ずっと、私が気になっていたことだった。


 七海「えっ、、、。どういうこと?」


 驚いた様子で私を見てきたが、本心はわかっている様子だった。


 私 「ごまかさないでよ」


 自分が驚くほど大きな声をだしていた。体育館に他の人がいないこともあるのか、私の声は響きわたっていた。


 七海「ビックリしたぁ。ハハハ」

 

 私は、七海を見つめた。


 七海「私も、ホントにわからないよ」

 私 「あの日、怪我したのは七海のせいじゃないでしょ」

 七海「あっ、そういうことね」


 七海は、さらりと私の言葉を返す。


 七海「たしかに、走れなくなったのは悔しいけど。別に、真波たちのせいだなんて全く思ってないよ」


 あの日、七海が怪我をしたのは私たちのせい。それは、誰が何て言おうと変わらない事実であった。


 私 「あっ、そう」


 がっかりした。私に気を遣うなんて、、、。私は、持っていたバスケットボールをワンバウンドで七海に返した。俯きながら、体育館から出て行った。なんで、七海は、素直に言ってくれなかったんだろう。素直に、私たちのせいだと言ってくれた方がまだ楽だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ