7月20日 負けず嫌い
昨日の試合から、一夜が明けた。今日は、練習はなく、明日から練習が再開がされる。しかし、私は、いつの間にか体育館に向かっていた。体育館に着くと、誰かがいることに気がついた。あの後ろ姿は、七海しかいない。私は、後ろから声をかけた。七海は、ふりかえり私の顔を見た。
七海「調子は、どう?」
ボールを、私の方にワンバウンドさせて、投げてきた。私は、ボールを受け取るなり、シュートを放った。
私 「うーん。どうだろうね?」
七海「あんまり、自信ないんだね」
少し、がっかりした表情で答えた。
私 「私は、颯希とは違うからね」
七海「ふーん。そっかぁ。私は、評価してるんだけどなぁ」
七海がよく言ってくれるセリフだ。
私 「それは、前も聞いたよ」
七海「もっと、自信もちなよ」
いつも自信があって、堂々としているのが七海だ。
私 「何の自信?」
七海「全てだよ」
私 「例えば?」
七海「うーん。勉強も部活も友だちも」
私 「七海からみたら、私ってそういう風に見えてるの?」
自分を客観的に見ることは不得意だ。
七海「私以外もそう見えてるんじゃない?」
私 「そうなのかな?」
七海「でも、私一つだけ真波に勝ってるところあるんだよね」
考えるが、負けてるところしかない。
私 「どこどこ?」
七海「逆にどこだと思ってる?」
そうやって、私に考えさせて答えさせようとする七海は、やっぱり賢いなと思った。
私 「質問を質問で返さないでよー」
七海「いいの。考えてよ」
私 「結構負けてると思うけどね」
考えるが、やはり思いつかない。
七海「どこだと思う?」
私 「やっぱり、負けず嫌いなところじゃない?」
七海「えっ、私が?」
私は、首を縦に振る。
七海「どこがよ。真波の方が負けず嫌いでしょ」
私 「負けず嫌いなのは認めるけど、七海には勝てないよ」
たしかに、私も颯希も負けず嫌いだ。でも、七海の負けず嫌いさは、私たちと比べものにならない。
七海「なによ、それ」
私 「七海はどこだと思うの?」
七海は、頭を指差した。
私 「えっ、どういうこと?」
七海「私は、真波よりは苦しんだっていう自負があるから」
七海が何を言いたいのかよくわからなかった。七海は、尊敬するが、颯希と同じくらいよく理解できないでいた。




