7月17日 宮下vs私
宮下と大山の本当の実力とは、どんなものだろうか?昨日、大野との電話で気になった。聖徳高校の女子バスケ部は、大野が怪我をしたこともあり、レギュラーの枠が空いている状態だった。通常であれば、3年生の宮下や大山がレギュラー候補になるだろう。
私は、自転車を止めて、体育館へと歩いていった。体育館の扉を開ける前に、バスケットボールの音がしていた。誰がボールを使っているのだろう。ボールを使っていたのは、宮下だった。
宮下「おはようー」
私 「おはよう」
宮下は、再び、シュートを打っていた。
私 「今日は、早いんだね」
宮下「"今日は"って嫌味かよ」
私 「嫌味じゃないよ」
宮下「ハハハ」
宮下は、ドリブルをしながら、ゴールに向かって走り出した。そして、その後、レイアップを決めた。私は、遠目から宮下の姿を見守っていた。
宮下「真波ー」
私 「ん?」
宮下「勝負しない?」
私 「えっ、どういうこと?」
宮下「フリースロー対決でもしよ。先に3本決めた方が勝ちね」
私 「う、う、うん」
宮下から渡されたボールを受け取り、フリースローラインにたった。どうやら、先に宮下がシュートをうつらしい。
ド、ド、ドドン。静かな体育館に音が鳴り響く。宮下は、何も言わずに一本目のシュートを放った。ボールは、キレイな弧を描いてゴールネットに吸い込まれていった。
宮下「よっしゃー。一本目ねー」
これまでとは違った闘志向きだしの宮下がいた。私は、よくわからないまま、フリースローをうつ準備していた。こんなことは言えないが、普通にやれば、宮下に負けるはずがはかった。
私は、ボールを左手で2回床につき、いつものフリースローをうつ構えになった。シュートを放った後も、手首は、リングに向かって真っすぐに向かって伸びていてた。きっちりゴールへと入っていった。宮下の方を見ると、少し悔しそうな顔をしていた。
宮下「さすがだねー。1対1かぁ」
宮下は、再び、フリースローラインに戻ってきた。そして、再び宮下は、シュートを放つ準備をした。すると、次の瞬間、高津と大山が現れた。
高津「真波ー、何やってんの?」
私は、後ろをふりかえった。高津は、タオルを持ちながら、私たちの方に歩いてきた。
私 「おはよう」
何をしているかは、私の口からは言えなかった。
宮下「真波、この決着は、また今度だね」
私 「‥‥」
宮下は、小声でそう言って、高津の方に歩いていった。宮下は、今、決着をする気はない様子だった。