7月15日 橋本涼太
今日は、久しぶりの休みということもあり、朝から涼太とデートに行っていた。涼太は、聖徳高校野球部のキャッチャーだ。涼太と出会ったのは1年生の夏。共通の知人であった湊谷がいたこともあり、仲良くなった。付き合い始めたのは、1年生の冬。しかし、私たちが付き合っていることを知っているのはごくわずかだった。
涼太「真波ー?」
スマホを見ながら、歩く私に話しかけてきた。
私 「ん?」
涼太「進路どうすんの?」
まさか、涼太からその質問がくるとは思っていなかったから少し驚いた。
私 「たぶん、大学には行かないかな」
涼太「えー。そうなんや」
私 「まだ、誰にも言ってないから言わんといてよ」
この話は、親や学校の先生にすら、話していなかった。おそらく、話したらすぐに批判されるだろう。
涼太「うん、、」
涼太は、少し戸惑っていた。
私 「涼太は、大学行くの?」
涼太「どうしようかなぁーって」
私 「でも、野球部だったら学校推薦で行けるところあるんじゃないの?」
聖徳高校野球部は、部活動推薦で毎年、何人かの生徒が大学に進学していた。定本くんや山里くんみたいに、しっかりとした試験で入る生徒は少なかった。
涼太「うん。でも、行ってもやめそうなんだよね」
私 「そうなの?」
涼太「うん。野球は、高校まででいいかなって」
私 「なんで?」
涼太は、遠くを見ながら話してくれた。
涼太「みんないいやつだし、このメンバー超えるやつはたぶんでてこないと思うんだよね。大学で野球やったからってプロいけるわけじゃないし、レギュラー目指して、他のやつと上手くいかないのも面白くないし」
涼太の話を聞いて、聖徳高校の野球部が本当に好きなんだろうと思った。
私 「涼太は、優しいね」
涼太「そうかぁ?」
私 「うん。涼太は、野球部だったら誰と仲がいいの?」
涼太「うーん?橘とか八幡かなぁ」
私 「橘くん、面白いよねぇ」
涼太「橘は、問題児やからな」
私 「でも、橘くんってエースでしょ?」
涼太「うん。一応エースやなぁ」
橘怜衣は、聖徳高校のエースだ。しかし、最近、打ちこまれるシーンが増えてきていたのだった。
私 「一応って‥‥」
涼太「真波は、誰といるの?」
私 「今は、一人が多いよ」
涼太「矢田さんとか篠木さんとは連絡とってないの?」
私 「うん。みんな忙しくて」
この後も、私たちは、ずっと高校の話をしていた。




